大量生産・大量消費があたりまえになった今、ファッション業界が抱える環境課題は年々深刻さを増しています。そんな中、学生たちが中心となって、服に新たな命を吹き込むビジネスのアイデアを生み出すというユニークな取り組みが始まりました。
東京・渋谷にある東京ビジネス・アカデミーで、ビジネスデザイン学科の学生たちが、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOとともに、約5か月間にわたって“アップサイクル”をテーマにした新しいビジネスの提案に挑みます。使われなくなった服に新たな価値を見出すというこの試みは、単なる環境配慮にとどまらず、実際のビジネスとして成立する形を模索するものです。
企業と学生がともに課題に向き合い、未来の消費やライフスタイルに対する新たな視点を提案していく。そんな動きが、これからの社会にどんな変化をもたらすのか注目が集まります。
なぜ今「古着×学生×ビジネス」なのか

衣類の大量廃棄が深刻な社会課題として注目される中、ファッション業界では「サステナブル」な取り組みが急速に広がっています。中でも、使い終わった衣類を新たな製品や素材として再活用する“アップサイクル”は、持続可能な社会を目指す上で欠かせない視点となりつつあります。
そうした中、ビジネスを学ぶ専門学校生たちが、実際の企業と連携してアップサイクルをテーマにした新たなビジネスアイデアを考えるプロジェクトがスタートしました。この取り組みでは、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOがパートナー企業となり、学生と共に約5か月にわたって企画の立案に挑みます。
対象となるのは、株式会社ZOZOが提供する「ZOZOUSED」で回収された古着。学生たちはこれらを題材に、実現可能性のあるアップサイクルビジネスをゼロから考案していきます。ただのアイデアにとどまらず、ビジネスとして成立させることが求められる本プロジェクトは、まさに“実践型”の学びの場といえます。
社会課題をビジネスで解決する力を養うとともに、企業と若者が一緒になって未来の価値を創出していく。その過程そのものが、次世代のビジネスの在り方を映し出しているように感じられます。
学生が挑むアップサイクルビジネス提案の現場

プロジェクトのスタートとなったのは、2025年7月22日に行われた初回授業です。会場となったのは、東京・渋谷にある東京ビジネス・アカデミーの教室。ここでビジネスデザイン学科に在籍する1年生たち約70名が、ZOZOの担当者から企業概要やプロジェクトのテーマについて直接説明を受けました。
学生たちにとって、ZOZOTOWNという有名ブランドの舞台裏に触れる機会は貴重なものだったようです。講義では、ZOZOが取り組むリユース事業「ZOZOUSED」についても紹介され、どのように古着が回収され、販売や再利用に至るのかといった流れが具体的に説明されました。特に、アップサイクルの観点から「価値をどう再構築するか」という課題が提示され、学生たちは真剣な表情で聞き入っていました。
その後、グループごとに分かれてのディスカッションが始まりました。どんな形なら再び世の中に届けられるのか、誰に向けてどんな価値を訴えるべきか。まだ始まったばかりの段階ながら、それぞれが個性的な視点で意見を出し合う様子が印象的でした。
この初回授業は、単に情報を受け取るだけでなく、学生自身が考え、行動に移すための「起点」として機能しています。ビジネスのリアルな現場と直結したテーマに触れることで、机上の学びが生きたものとなり、学生たちの視野を大きく広げる一歩となったようです。
アイデアを“ビジネスに変える”力を試す場

衣類の大量廃棄が深刻な社会課題として注目される中、ファッション業界では「サステナブル」な取り組みが急速に広がっています。中でも、使い終わった衣類を新たな製品や素材として再活用する“アップサイクル”は、持続可能な社会を目指す上で欠かせない視点となりつつあります。
そうした中、ビジネスを学ぶ専門学校生たちが、実際の企業と連携してアップサイクルをテーマにした新たなビジネスアイデアを考えるプロジェクトがスタートしました。この取り組みでは、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOがパートナー企業となり、学生と共に約5か月にわたって企画の立案に挑みます。
対象となるのは、株式会社ZOZOが提供する「ZOZOUSED」で回収された古着。学生たちはこれらを題材に、実現可能性のあるアップサイクルビジネスをゼロから考案していきます。ただのアイデアにとどまらず、ビジネスとして成立させることが求められる本プロジェクトは、まさに“実践型”の学びの場といえます。
社会課題をビジネスで解決する力を養うとともに、企業と若者が一緒になって未来の価値を創出していく。その過程そのものが、次世代のビジネスの在り方を映し出しているように感じられます。
学生発のビジネスが社会に出る可能性

プロジェクトは今後、最終プレゼンテーションに向けてさらに本格的な段階へと移っていきます。学生たちは中間発表で得たフィードバックをもとに、提案内容をブラッシュアップし、実際に企業での導入も視野に入れたより実践的なビジネスプランとして仕上げていきます。
最終発表は、2026年1月を予定しており、ZOZOの担当者を含む審査員に対して再びプレゼンテーションを行います。この段階では、単にユニークなアイデアであるかどうかだけでなく、社会に実装できるか、事業として継続可能かどうかといった観点が重視されます。
注目すべきは、このプロジェクトが単なる学内課題にとどまらず、実際の企業と共に事業化の可能性まで見据えた取り組みであるという点です。学生の柔軟な発想と、企業の現場感覚が融合することで、これまでにないアップサイクルビジネスが誕生するかもしれません。
また、今回のプロジェクトは一過性のイベントではなく、持続的な産学連携の可能性も感じさせる内容となっています。教育機関と企業が協力し、次世代を担う人材の育成と社会課題の解決に同時に取り組む姿勢は、今後の人材育成の新たなモデルとして広がっていく可能性もありそうです。
学生たちが描くアイデアが、どのような形で現実社会に実装されていくのか。その行方に期待が高まります。
未来のビジネスは、学生たちの手から生まれるかもしれない
社会課題に向き合いながら、企業と学生が協働で新しい価値を生み出していく。今回のような産学連携のプロジェクトは、まさに「学び」と「実践」がつながる理想的な形といえます。
決められた正解がない問いに対して、自分たちの視点で課題を捉え、発想し、形にするという経験は、これからの時代を生きる学生たちにとって大きな財産となるはずです。そして、企業側にとっても、未来を担う若い世代から生まれる新しい視点や提案は、自社の取り組みに新たな刺激をもたらすきっかけとなるでしょう。
アップサイクルというテーマは、単なる古着の再利用にとどまらず、私たちの消費行動や価値観のあり方に問いを投げかけるものです。そこにビジネスの視点を掛け合わせ、実現可能な形で世に送り出す挑戦は、環境問題だけでなく教育や地域社会にも波及する広がりを持っています。
未来のビジネスは、教室の中から生まれる可能性があります。そう感じさせる学生たちの挑戦に、これからも注目していきたいです。