このところ、耳にする機会が増えた「短鎖脂肪酸」。腸内で有効な働きをするといわれる短鎖脂肪酸は、腸内細菌が産生する代謝物質で、全身の健康に対してさまざまな好影響をもたらすことがわかっている。一般社団法人短鎖脂肪酸普及協会(https://scfa.or.jp/)によるとその効果には次のようなものがある。
短鎖脂肪酸の健康効果
01.肥満抑制
02.耐糖能改善
03.免疫機能増強
04.アレルギー予防
05.便通改善
06.腸管バリア機能向上
07.持久力向上
08.炎症抑制
だが、短鎖脂肪酸をつくる腸内細菌叢(腸内フローラ)の構成は人によって異なり、その人その人の腸内細菌に合った栄養源を摂取しなければ効率的に短鎖脂肪酸を産生することができないという。
そんな中、昨年12月から株式会社明治が明治「見える化」サービスの第二弾としてスタートしたのが、腸内フローラ検査とその結果に基づいた腸内タイプ別のパーソナルココア飲料をセットにした新たな健康ソリューション「Inner Garden(インナーガーデン)」のEC販売だ。
https://floracheck.meiji.co.jp
今回は、このインナーガーデンのプロダクトマネージャーとして活躍する株式会社Wellnize(株式会社明治、株式会社ゲキジョウ、株式会社Co-Liftの合弁会社)の高木みどりさんにお話を聞いた。

高木みどりさん(株式会社Wellnize プロダクトマネージャー)インタビュー
Q.インナーガーデンの特徴を教えてください。
便を検査して腸内フローラを測定するサービスは以前からありましたが、インナーガーデンの最大の特徴は、検査結果に基づいたソリューション(専用ドリンク)が用意されている点です。お客様一人ひとりの腸内タイプを検査で正確に把握し、その方に合ったドリンクをお届けすることが、このサービスの最も大きな特徴です。
Q.それは簡単にできるものなのでしょうか?
はい、とても簡単です。まずは明治IDという無料IDを取得していただき、検査キットがお手元に届いたら便を採取します。採取するのは小指の爪程度の便で、それをお送りいただいてから2〜3週間でレポートが完成します。そこでご自身の腸内が5つのうちどのタイプに該当するかが分かり、結果に合わせたドリンクがご自宅に届きます。

Q.この5つのタイプに当てはまらないような人はいるのでしょうか?
いいえ、基本的には5つのうちいずれかのタイプに分類されます。これは、腸内細菌の量を偏差値で示し、その中で最も数値が高いものをその方のタイプとして決定するためです。例えば、ビフィドバクテリウム菌の偏差値が他の菌に比べて突出して高ければ、その方は「ビフィドバクテリウムタイプ」となります。いずれかの菌が全くいないということはないので、必ず5種類のうちのどれかには当てはまります。
Q.自分のタイプ以外のドリンクを飲んではいけないのでしょうか?
そのようなことは全くありません。他のタイプのドリンクも食品ですので害はありません。
では何が違うのかというと、腸内にいる菌はそれぞれ好む「エサ」が異なります。菌は自分好みのエサを摂ることで「短鎖脂肪酸」という有益な物質を作り出します。インナーガーデンは、ご自身の腸内で最も優勢な菌に好みのエサを与え、最も効率よく短鎖脂肪酸を生成させることを目的としています。
例えば、「ビフィドバクテリウムタイプ」のドリンクにはビフィドバクテリウム菌が好むエサが、「バクテロイデスタイプ」のドリンクにはバクテロイデス菌が好むエサが豊富に含まれています。味はほとんど変わりませんが、中の配合は全く異なります。
これは、野球チームで例えるなら、一番実力のあるエースピッチャーに活躍してもらうのが最も勝利につながりやすい、という考え方に似ています。ご自身の腸内で最も多い菌に頑張ってもらうことで、効率よく腸内環境を整えるのがインナーガーデンのアプローチです。
これらの菌が好むエサは主に食物繊維ですが、ドリンク1本分に含まれる量を食事だけで摂るのは非常に困難です。例えば「ルミノコッカスタイプ」のドリンク1本には、大麦ご飯お茶碗12杯分、またはバナナ10本分に相当する食物繊維が含まれています。これを毎日食事で摂るのは現実的ではありません。そこで、1日1本このドリンクを飲むことで、効率よく短鎖脂肪酸の生成をサポートします。
Q.飲む時間帯のおすすめはありますか?
食品ですので、飲む時間に特別な決まりはありません。ただ、飲み始めはお腹の動きが活発になり、ガスが出やすくなったり、一時的にお腹がゆるくなったりすることがあります。そのため、ご心配な方には、お出かけ前を避け、ご自宅でリラックスできる時間帯や夜にお飲みいただくことをおすすめしています。
毎日続けていただくことが大切なので、習慣化しやすいように決まった時間に飲むのが忘れにくくて良いかと思います。ちなみに私は、甘くて美味しいのでおやつの時間に楽しんでいます。
Q.インナーガーデンには本当にココアが入っているのですか?
はい、入っています。いわゆる「ココア風味」ではなく、規定上「ココア飲料」に分類される量がしっかりと入っています。市販のココアパウダーなどを使用しているのではなく、インナーガーデンのためにオリジナルで配合したものです。
Q.インナーガーデンは何歳から飲めるのですか?
サービス自体は18歳以上の方を推奨していますが、お子様がお飲みになっても問題ありません。ただし、大人向けの配合量ですので、一時的にお腹がゆるくなる可能性もございます。そのため、お子様の場合は様子を見ながら飲ませてあげてください。私の息子も「お腹が少しゆるくなるけど美味しい」と言いながら、最近よく飲んでいます。
Q.親子だと、腸内細菌も同じタイプになるのでしょうか?
興味深いことに、腸内環境に最も影響を与えるのは食生活です。ご家族は同じものを食べることが多いので、腸内環境も似る傾向にあります。例えば、海藻やお魚、野菜中心の食生活を送るご家庭では「プレボテラ」タイプが多く見られるかもしれません。また、近年は食生活の欧米化が進んでいることから、肉類をよく食べる方に多いとされる「バクテロイデス」タイプが、現在の日本人では最も多いと言われています。
Q.昨年12月に発売開始で7カ月が経過しました。販売状況はいかがですか?
具体的な数字はお伝えできませんが、テレビや各種メディアで取り上げていただく機会も増え、おかげさまで販売は順調に推移しています。特に、私たちが想定していた以上に反響が大きかったのがリピート率です。新規でご購入いただく方はもちろん、そこから定期購入を継続してくださる方が、当初の予測を大幅に上回っています。
Q.続けてもらえる理由としてどのようなことが考えられますか?
一番の理由は、やはりお客様ご自身が何らかの変化を感じてくださっていることだと考えています。お客様がご自身の体調の変化を実感され、継続に繋がっているのだと理解しています。
Q.ところで、高木さんはインナーガーデンのプロダクトマネージャーですが、具体的にどのような仕事をされていますか?
お客様にこのサービスを快適にご利用いただくために、あらゆる業務に携わっています。例えば、開発チームと連携してレポートシステムの機能改善を検討したり、お客様にとって分かりにくいページがあれば、より見ていただけるようにサイトの構成やデザインの改善案を考えたりします。
また、サービス開始後はお客様サポートに寄せられる声を収集・分析し、サービスの改善に繋げることも重要な仕事です。このように、マーケティング、デザイン、開発の全てに関わっています。例えば、メルマガの制作なんかも自分で行なっております。
Q.メルマガはどのぐらいの頻度で出しているのですか?
現在は2週間に1度の頻度で配信していますが、まだ試行錯誤の最中です。例えば、男性向けと女性向けで内容を変えたり、件名やキービジュアルを変更したりすることで、どのくらい反応が変わるのかをテストしながら、より良い形を探っています。機能改善やマーケティングなど、やりたいことが山積みで、その優先順位を決めるのが現在の課題です。
Q.インナーガーデンはどんな方に使ってほしいですか?
腸内環境は全ての方にとって整えるべきものなので、皆様におすすめしたいです。
特に多くご利用いただいているのは、私と同じ30-50代くらいの女性です。この年代の女性は、もともとこういった検査サービスに慣れている方が多く、手に取っていただきやすかったのかもしれません。また、私自身も35歳を過ぎた頃から体調の「揺らぎ」を感じるようになり、それを改善したいという気持ちが強くなりました。同じような思いを持つ方のニーズに合致したのではないかと推察しています。
情報番組で取り上げていただいた際には、男性のお客様も増えました。特に健康意識の高いビジネスパーソンの方は、ご自身のコンディションが仕事のパフォーマンスに直結すると考えており、その一環として腸内環境を整えるためにインナーガーデンを続けてくださっているようです。
このように、現在の中心的なお客様は30-50代の男女ですが、最終的には、体調に不具合がある方だけでなく、誰もが健康維持のためにインナーガーデンを当たり前に摂るような世界を目指しています。
Q.他にこれから新たに計画してるようなことはありますか?
はい。現在、定期購入は「24本セットを30日周期でお届けコース」しかないのですが、「24本セットを24日周期でお届けするコース」の追加を計画しています。「毎日飲みたい」というお客様の声にお応えして、毎日の習慣にしていただけるようにしたいと考えています。
Q.最後に、インナーガーデンの展望をお聞かせください。
インナーガーデンとしての思いは、腸内環境を整えるという文化を世の中に浸透させ、当たり前のものにしていくことです。

高木みどり(41歳)
株式会社Wellnize プロダクトマネージャー
日本女子大学卒業後、大手生命保険会社に就職するも一橋大学大学院 商学研究科経営学修士コースで学び直し、MBAを取得。2010年には楽天株式会社へ入社し、10年にわたってグループ横断マーケティング組織のデジタルマーケティングエキスパートとして活躍。コロナ禍の2021年に株式会社Wellnizeの前身となる株式会社Co-Liftに入社し、2024年3月から株式会社Wellnizeに転籍。「インナーガーデン」の構想段階からプロダクトマネージャーとして関わる。10歳と5歳の息子を持つ母。
インタビューの際に記者もインナーガーデンを一本飲ませていただいたが、何も知らされていなければココアとしか思えないほど美味しかった。これなら高木さんがおやつとして毎日飲んでいるというのも頷けるし、毎日の日課として飲み続けることができるだろう。壊れたカラダをもとに戻すのには、とてつもない時間と努力が必要だが、そんなことになる前にインナーガーデンを摂取して短鎖脂肪酸を産生し、いつまでも健康的に過ごせるカラダ作りを心がけてみてはいかがだろう。