全国4千社以上に導入されている食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を運営する株式会社エデンレッドジャパンが3月30日、「食事補助非課税枠拡大に向けた連携発表会」を東京・六本木の同社本社で行った。今回の取り組みは、企業の食費補助に関する非課税限度額が月額3500円から7500円に引き上げられる今春の税制改正を受けたもの。当日は同社の天野総太郎社長のほか、連携先である株式会社ベネフィット・ワン、株式会社イーウェルの担当役員が登壇。また、同サービスの加盟店を代表して株式会社松屋フーズホールディングスと株式会社吉野家ホールディングスの担当者も出席し、実に42年ぶりとなる制度改正に向けて各社の期待と意気込みが語られた。
税制改正で注目の食事補助制度を社会インフラに
同社が展開する「チケットレストラン」は、専用のICカードを通じて飲食店やコンビニを「社員食堂」のように使える食事補助サービスだ。全国25万店舗以上で利用可能でウーバーイーツとも提携。社員食堂を持たない企業でも食事補助制度を簡単に導入できるところが大きな特徴である。

そもそも「食費補助」とは、企業が従業員の食事代の一部を負担する福利厚生制度のこと。社員食堂での食事、弁当の支給、食事用チケットなどの現物支給であること、食事の価額(食材の仕入れ額や弁当の購入額)の50%を従業員が負担していることなどが非課税になる条件であり、4月1日の税制改正では、これまで42年間にわたって3,500円で据え置きだった企業負担の限度額が7,500円に引き上げられる。これは月20日勤務とした場合、企業が支給する食事代が750円(うち、従業員負担375円)となる計算で、企業側は税負担を抑えながら従業員とのエンゲージメント強化が可能になり、従業員側は可処分所得の増加につなげられる。


そんな企業と従業員の双方にメリットがある食費補助だが、本発表会で今回の取り組みの主旨を述べた株式会社エディレッドジャパンの天野総太郎社長の説明によると、日本の就業人口に対する「食事補助」の普及率はわずか14%に留まるという。これはベルギー(77%)、イタリア(75%)、ポルトガル(67%)など諸外国と比べて極めて低い数字で、その差を生んでいる背景として同氏は「諸外国では社員食堂型な食事補助ではなく、チケットやカードを用いた決済型の食事補助が広がり、国家レベルの経済政策として機能している点」と「税制改正前の比較で7倍から10倍という非課税限度額の違い」をあげる。

その上で今回の税制改正を前に「食事補助の認知を圧倒的に高め、世界水準である就業人口の50%以上まで普及させ、日本社会のインフラに定着させていきたい」と述べた同氏は、「大きな機運を確実に捉え、社会全体に一気に普及させるべく、強力なパートナーの皆様との協業が実現しました」と強調。続く取り組みの詳細説明につなげた。
ベネフィット・ステーション、ウェルボックスの運営会社と提携
今回の連携が発表されたのは「ベネフィット・ステーション」を運営する株式会社ベネフィット・ワンと「WELBOX(ウェルボックス)」を運営する株式会社イーウェルの2社。ともに福利厚生サービスの大手であり、本取り組みでは両社の「カフェテリアプラン(設定されたメニューの範囲内でユーザーごとの利用メニューが決められる選択型プラン)」の中にチケットレストランが組み込まれる。従業員は勤め先から支給されるカフェテリアポイントをメニューに申請することで、チケットレストランのICカードに利用可能分がチャージされるという仕組みだ。

日本中の企業に幅広く導入されている両サービスとの連携で食事補助制度の導入が一層加速することが期待され、両社の担当者も「この協業連携によって日本中に制度改正の恩恵を広げ、企業課題の解決につながるよう努めていきます」(株式会社ベネフィット・ワン 古賀清氏)、「今回の提携を通じて、一部の企業の制度だった食事補助をもっと当たり前に活用できる仕組みに広げていきます」(株式会社イーウェル 梶村幸輝氏)とそれぞれ意気込みを述べた。


また、今回の連携を記念して、両サービスのユーザー向けにチケットレストランの初期費用が無料になるキャンペーンとチケットレストランに新規申し込みがあった企業に導入手数料を最大50%割り引くキャンペーンを6月まで行うことも発表された。
新サービス「食のクーポン」もスタート

なお、この日は同社が4月1日から新たに行う「食のクーポン」サービスも併せて紹介された。本サービスは、チケットレストラン利用者向けに飲食店、カフェ、コンビニなどで使えるアプリクーポンを提供するというもの。第一弾となる4・5月は、和食さと、ガスト、セブン-イレブン、日高屋、松屋、吉野家、ロイヤルホストなど7社12ブランドの加盟店が参加し、ランチなどにうれしい割引が受けられる。会場には加盟店を代表して株式会社松屋フーズホールディングスの今野慎一郎氏、株式会社吉野家ホールディングスの寺澤裕士氏が出席し、新サービスのスタートを応援する言葉を述べた。


最後に再度登壇した天野社長は、食事補助を普及させる3つのアクションとして「非課税食事補助の浸透」「非課税運用の支援強化」「物価スライド制の構築」を引き続き行っていくことを宣言。同社アプリに新導入されたAIによるレシート解析機能「証憑スキャン」など具体策も紹介され、「日本の食事補助を世界水準、そして社会インフラへ。エデンレッドジャパンの新たな挑戦にどうぞご期待ください」と改めて意気込みを述べて発表会を締めくくった。
物価高騰が家計に影響を与える中、食事補助は従業員の健康的な生活を支える重要な制度である。同時に飲食店の利用促進を通じて地域経済の活性化にも寄与する可能性を持つ。今回の制度改正と企業連携が、その普及をどこまで加速させるか注目される。
