東京都主催による女性活躍とダイバーシティ経営の推進に向けた意識改革を促すイベント「東京女性未来フォーラム2026」が1月26日に東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された。3度目の開催を迎えた今年は、女性経営者が集う「NEW CONFERENCE」の要素が新たに加わり、より充実した内容にパワーアップ。前後半の二部構成で、各業界のリーダーによる基調対談、女性起業家らによるパネルディスカッション、ワークショップなど多彩なプログラムが展開された。ここでは小池百合子都知事も登壇した第1部の内容を一部抜粋してお伝えする。
現役リーダーが考える「多様な人材が活躍できる組織作り」とは?
「変えていこう、東京から。動かそう、日本を」をスローガンに掲げて行われた本イベント。全体の幕開けに行われた基調対談では、株式会社ルミネ代表取締役社長の表輝幸氏、株式会社三井住友銀行代表取締役副頭取執行役員の工藤禎子氏、株式会社ABC Cooking Studio代表取締役社長兼CEOの志村なるみ氏、東京都の松本明子副知事に、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング日本代表の中村敬子氏をモデレーターに加えた5名が登壇し、「女性活躍の輪が創る未来:男女共に活躍する社会の実現に向けて今できること」をテーマに、それぞれの体験と経験が語られた。

最初に「伝統的な男性社会というイメージが強い銀行の中で、これまで直面した苦労や信頼を得るためにしてきたこと」について尋ねられた三井住友銀行の工藤氏は、男女雇用機会均等法施行前に入社した自身の経験を振り返り、「単に女性の先輩が少なかったことにも苦労をしましたが、自分は何かの道のプロになりたいと思って総合職を選んだのに、当時は割と一様なキャリア開発モデルが確立されていて、その中で自分の意に沿わない異動も経験しました。ただ、目の前のことに一生懸命に取り組み、自分の考えていた以外の業務が経験できたことや、その中で培った考え方やネットワークが今の部署で非常に役立っています」と回答。

一方、ここまでの途上では「リーダーの在り方」に悩んだこともあったといい、「昔は迫力のある強いスタイルのリーダーが多かったので、管理職になる年齢を迎えた頃は『私はリーダーに合っていない』と思っていました。ただ、そんな時に『リーダーシップというのは、それぞれの人に色んなスタイルがあるって考えればいいんですよ』と教えてくださった方がいて、そこから段々と自信を付けて、リーダーの面白さも感じられるようになりました」と話した。
次に、松本副知事に「多様な人材が活躍できる組織作り」に関する質問が。これに「多様な人材が活躍できる組織の本質は、一人一人を大切にすること、そして一人一人の力を活かすことだと考えています」と答えた松本副知事は、そのための具体的な取り組みとして「風通しの良い職場作り」をあげ、「都民や事業者の皆さまがどういう思いで、どんなことを考えていらっしゃるか一番分かっているのは現場にいる職員なので、職員が自由にものを言えるような雰囲気作りを日々心がけています」とコメント。

また、ワーク(仕事)よりもライフ(生活)が大切である」という意味を込めた「ライフワークバランス」、育児も未来の世代を育む大切な仕事という意味を込めた「育児休業」という都庁独自の呼称を紹介しつつ、男性の育児休業取得率が99.3%という実績を紹介。その上で「来年度からは介護や育児などに専念しなくてはいけない職員が抜けるところをカバーしてくれる職員を応援する制度も開始します。皆さまが働きやすい職場作りを都庁から始めていきたいと考えております」と述べた。
続いて、同じく「多様な人材が活躍できる組織作り」について問われたルミネの表氏は、2013年代から社内横断型で取り組んできた、女性の働きやすい環境作り「きらきらルミネ」プロジェクトを紹介。そこから起こった特徴的な事例として、35歳から45歳のリーダー管理職およびマネージャークラスの5割以上が時短勤務もしくは育児休暇を取得している点、それに関連してリーダーが不在の際でも代理の機能が担える人材育成や評価制度の整備があげられた。

そして、パートナー同士が一緒に料理を楽しむなど、男性が家庭に進出することで起こる社会の変化について意見を求められたABC Cooking Studioの志村氏は、「今は男性、女性のどちらかが得意な方をやればいいという柔軟な発想を持った20代30代の方々が急増しています」と時代の移り変わりを指摘。また、もともと女性管理職の比率が高い組織の中に男性の管理職が増えつつあるという自社の“逆転現象”に触れ、「性別の隔てなく自分の得意なことに胸を張れる時代になっていけばいいと思います」と考えを述べた。

その後「さらなる女性活躍に向けて、これからの社会が目指す姿」について再び意見を求められた4名は、工藤氏が「同質性の高い組織というのは生産力が非常に高いですが、その反面で変化の兆しやリスクを見逃してしまうこともあります。そうした中で多様な人を受け入れ、異質な意見を取り入れていくことは、会社や社会を救うだけでなく、成長の原動力にもなるはずです」と話すなど、未来志向の貴重な意見が交わされた。
小池都知事見守る中、中高生たちがアイデアを提案
続く「中高生によるMy Voice 自分たちが変えよう・動かそう」のプログラムでは、東京都立富士高等学校附属中学校、東京都立調布北高等学校、東京都立六本木高等学校、東京都立小金井北高校の4校から計12名の生徒が登壇。小池百合子東京都知事も見守る中、自分らしく活躍できる社会作りに向けた提言が行われた。

いずれの学校も若者らしい自由でフレッシュなアイデアが提案された中、小金井北高の生徒は「大人と子どもがもっとつながれる社会へ」をテーマにしたプレゼンテーションを実施。地域の子ども食堂にボランティアで参加した経験から「子どもたちは自分たちの居場所や人と関われる時間をより必要としている」と感じたという彼女たちは、それにおける大人の課題として「大人が地域社会に関わることができる時間が少ない」ことをあげ、その具体的解決策として長時間労働の解消と労働生産性の向上を唱える。

さらに、子どもと企業を繋ぐ提案として「企業が子ども食堂に食品を提供する」「子どもたちを社員食堂に招待する」という案も示され、課題から提案までセットになった発表は、会場に集まった企業リーダーたちの心を打つものがあった様子。小池都知事もひとつひとつの提案を講評しつつ、「それぞれとても特色があり、工夫を凝らして、地域の特性も考えたさまざまな分析、マイボイスが参考になりました」と感謝を語った。
その後は「東京女性経営者アワード」の表彰式が行われ、銀座セカンドライフ株式会社の片桐実央氏が経営成長部門を、株式会社ミラクルソリューションの長岡路恵氏が持続経営部門を受賞。

小池都知事から賞状と記念のトロフィーが授与されると、その祝賀ムードのまま、女性活躍・ダイバーシティ経営の推進に向けた本フォーラムの共同宣言が行われ、「私のトップマネジメントにより組織の文化を変革します」「女性の管理職を育成し、意思決定の場における女性を増やし、より一層多様な声が反映されるようにします」「誰もがチャレンジできる働きやすい職場づくりを行います」という3点を宣言。小池知事が「これからも力を合わせて、創意工夫も凝らしながら女性活躍の輪を広げ、女性と男性が一緒になって社会を輝かせてまいりましょう」と言葉を添え、第1部のプログラムを締めくくった。
今年も多彩なプログラムで華やかなにぎわいを見せた「東京女性未来フォーラム2026」。現役の女性リーダー、女性起業家、そして中高生の若者も交えて行われたイベントからは、時代の大きなうねりを大きく感じた。ここからさらに女性活躍の輪が広がっていくことを期待したい。
