競走馬として多くのファンに夢や感動を与えたサラブレッドも、引退後は飼育費や受け入れ先の不足といった厳しい課題に直面する現代。
こうした中、写真販売プラットフォーム「みんなのおもいで.com」を展開する株式会社ハッピースマイルは、写真の購入を引退馬や養老牧場の支援につなげる取り組みを進めています。
今回、同社の代表取締役を務める佐藤堅一氏に、この取り組みを始めた背景や写真販売の可能性、今後の展望について伺いました。
「みんなのおもいで.com」に込められた想い
ハッピースマイルが展開する「みんなのおもいで.com」は、イベント・施設・団体向けにオンラインで写真販売を行える写真販売プラットフォームサービス。

導入団体側のプラットフォーム導入費や登録料がかからず、閲覧者も会員登録なしで写真を閲覧することが可能。
保育業界に加え、スポーツ、エンターテインメント、高齢者福祉施設など幅広い分野で活用が広がっているサービスです。

「昔は、学校で壁に写真を貼り出して、欲しい写真の番号を書いて先生に出して購入する、ということをよくやったと思います。弊社は、まさにあれを日本で最初にインターネットで購入できるような仕組みを作った会社なんです。」
と、本サービスについて語る佐藤代表。

現場で撮影した写真・思い出を販売したいという方が、より簡単に写真販売ができる仕組みとなっています。
「ただ写真を売るプラットフォームではなく、現場の課題解決を目的に開発しています。一見すると単にネットで写真を提供する仕組みのように見えますが、ただの写真屋だと思われるのが一番嫌なんです。(このサービスの)根底には現場の困りごとを解決したい、ありがとうをもらえるサービスを提供したいという想いがあります。」
ただの写真販売プラットフォームではなく、現場の困り事を解決する一助になりたい。
佐藤代表はインタビューに対して「みんなのおもいで.com」へ込めた熱い想いを訴えかけました。
引退馬支援に「みんなのおもいで.com」を活用?収益化相談が5倍へ
ハッピースマイルでは「みんなのおもいで.com」を活用し、引退馬のセカンドキャリア支援に取り組む養老牧場・牧場運営者との連携を強化。
牧場見学イベントや馬とのふれあい体験、養老牧場の日常風景などの写真を販売することで、新たな収益源にする取り組みを行っています。

養老牧場・馬主関係者から注目を集め、前年同期比で約5倍もの問い合わせ増となっているのだとか。
「実は私自身が馬主なんです。東京馬主協会に所属しております。サラブレッドは、現役の時はスポットライトが当たりますが、引退した瞬間から、まるで無かったことのようになります。自分自身が馬主で、馬と近い距離にいることから、それが気になってしまったんです。」
と、養老牧場との取り組みのきっかけについて語った佐藤代表。

サラブレッドが引退した後も生きていくため、引退馬は引取先の養老牧場などで、乗馬・繁殖・ホースセラピーなどの仕事を行って第2の生を過ごしているのだそう。
「馬にとっても、引退後に何か役割があると生きがいになるらしいんです。馬は人間が助けないと生きてこられなかった動物とも言われている生き物で、人間の感情を読み取ることもできる。そのため『人間の役に立っている』という感覚を持っているそうなんです。」
と、馬のセカンドライフの大切さ、馬と人間の関係性についても言及した佐藤代表。
しかしコアなファンを除いて、引退後の馬の行方や暮らしについて知っている人の方が少数であると語り、そんなファンたちに養老牧場が直接支援してもらうための仕組みとして「みんなのおもいで.com」を活用した写真販売を提案しているのだそう。
「SNSで日々の写真を発信する牧場もありますが、牧場運営者の年齢などによっては、継続的なSNS発信が難しい場合もあります。『みんなのおもいで.com』は、そうした牧場の情報発信や収益化を支える選択肢にもなります。」
と教えてくれました。

ジョッキーの起用による引退馬支援の仕組みを目指して
佐藤代表は、ゆくゆくはジョッキー(騎手)を起用し、オフショット写真を販売することによる引退馬支援を行っていきたいと語りました。

「ジョッキーをタレントとしたときに、競馬場で走ってるのはステージ上に立っている時です。例えば私服姿であるとか、休みの日にジョッキー仲間で遊びに行った様子などって、ファンが競馬場に行っても絶対に見れない姿ですよね。将来的にはジョッキーを起用し、オフショット写真を販売することで、現役時代に乗せてもらった馬たちへ恩返しができる。ファンたちは購入した写真の代金が引退馬支援に活用される。そういった仕組みの普及を目指しています。」
現在、提携養老牧場は約10ヶ所であり、今後3年で現在比2倍規模の拡大を目指すと教えてくれた佐藤代表。
佐藤代表は、やはり馬たちよりもジョッキーの方が、競馬ファンへの影響力は大きいとコメントし、そんなジョッキーたちの協力を得られれば、より大きな支援の輪が広がっていくのではないかと推察。
ジョッキーを起用した写真販売・支援についてはあくまで将来的な構想であるとしながらも、すでに提携牧場関係者から「あの人と繋ぐよ」と声をかけてもらえるなど、具体的な進展も見せているそう。
写真にデジタルサインを入れて販売できる仕組みも備えているため、サイン入り写真などの展開も検討したいと展望を語りました。

「サラブレッドは、現役の時はスポットライトが当たりますが、引退した後はスポットライトが当たらなくなってしまいます。しかし命には変わりないので、その部分を我々は支援していきたい。競馬が好きな人であれば、引退後の馬を一緒に追いかけてもらって、あの時夢を与えてくれたサラブレッドたちのセカンドライフも一緒に応援してもらえたら嬉しいです。」
飼料費や装蹄費・施設維持費・人件費など、費用高騰の中で「寄付に頼らない経営」を模索する養老牧場は増加傾向にあるそう。
その中でファンと引退馬をつなぎ、新たな支援の一環として活用できるだけでなく、引退馬たちの日常や現在の暮らしを映した写真販売ができる「みんなのおもいで.com」は、引退馬と競馬ファンの新たな接点を作るきっかけになるのではないでしょうか。
「みんなのおもいで.com」:https://minnanoomoide.com/
