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脳梗塞治療に新たな選択肢! 創薬ベンチャーが研究開発する「TMS-007」実用化に向けた現在地と展望

東京農工大学発の創薬ベンチャーとして薬の研究・開発を行う株式会社ティムスは、2011年より従来の脳梗塞治療薬にはない特長を備える「TMS-007(ティーエムエスゼロゼロセブン)」の開発を進めています。この新薬が実用化され
リアルプレス 2025年9月26日

東京農工大学発の創薬ベンチャーとして薬の研究・開発を行う株式会社ティムスは、2011年より従来の脳梗塞治療薬にはない特長を備える「TMS-007(ティーエムエスゼロゼロセブン)」の開発を進めています。この新薬が実用化されることで、急性期の脳梗塞を治療できる患者の幅が広がるほか、副作用のリスクも少なくなることが期待されています。2025年9月25日にはプレス向け説明会が開催され、新薬における研究の進捗と特長について共有がなされました。

既存の脳梗塞治療薬の投与は脳梗塞患者全体の約10%にとどまっている

冒頭では、ティムス代表取締役社長の若林拓朗氏が登壇し、脳梗塞の現状について話しました。

脳梗塞は脳の血管が詰まってしまう疾患、脳出血は血管が破れて出血する状態を指します。日本では、脳卒中のうち約7割が脳梗塞といわれていて、死亡原因の第4位に位置し、およそ2〜3割の方が命を落とすとされています。

また、命は助かっても、記憶障害・言語障害・読解力や理解力の低下など、重い後遺症が残ることも少なくありません。成人が障害を負う主な原因としても第1位とされており、極めて重大な疾患だといえます。

脳のどの血管が詰まるかによって、脳梗塞の重症度や後遺症の程度が大きく異なるのが特徴で、脳梗塞が起こると脳の血管が完全に閉塞し、数分のうちに脳細胞が壊死してしまう領域が発生します。その一方で、脳は血管が密に張り巡らされているため、主要な血管が詰まっても周囲の血管から血流がある程度供給される部分があります。

このような部分は「ペナンブラ」と呼ばれ、中心部に比べて細胞死がゆっくり進行し、数時間から場合によっては数日にわたり徐々にダメージを受けていきます。そのため、脳梗塞の治療では、「ペナンブラ領域の脳細胞をいかに早く、どれだけ救えるか」が最も重要なポイントだと若林氏は説明しました。

ペナンブラを救う方法としては「2つの戦略がある」と若林氏は示しました。


①詰まった血管の血流を再開すること(血栓溶解療法)
②ペナンブラの細胞が受けるダメージを抑え、炎症などを軽減すること

しかし、先進国において脳梗塞の治療で広く使われている薬は、FDA(アメリカ食品医薬品局)による承認を受けた薬が1つしかないという現状があり、さらに実際に投与されているのは脳梗塞患者全体の約10%にとどまっているといいます。

「その理由は、t-PA(急性期脳梗塞の治療薬)が発症から4.5時間以内という厳しい時間制限の中でしか投与できないことです。投与が早いほど効果は大きく、例えば発症3時間以内に投与した場合は、症状が改善する患者(緑)が圧倒的に多く、副作用で悪化する患者(赤)は少ないという結果が出ています。

一方、3〜4.5時間以内の投与になると改善効果は低下し、赤(副作用)が相対的に増え、さらに4.5〜6時間を超えるとメリットがほとんどなくなることから、t-PAは発症から4.5時間以内に投与することが厳格に求められているわけです」(若林氏)

探索研究で見出したSMTPは血栓溶解を強力に促進する

続いて、ティムス 取締役会長/農学博士の蓮見惠司氏が登壇し、研究開発中の「TMS-007」の概要説明と将来性について発表しました。

蓮見氏は、歴史上最も売れた医薬品の一つとされる高脂血症治療薬「スタチン」を発明した遠藤章博士と17年間にわたり研究を行い、その後探索研究を経て、低分子化合物「SMTP」を発見しました。SMTPは、ペニシリンやアスピリンのように分子量が小さい低分子化合物で、「SMTPが脳梗塞にどのように作用するか」という観点から、そのメカニズムについて研究してきたそうです。

「血栓(血の塊)は『フィブリン』というタンパク質によって形づくられており、これを溶かす役割を担うのが『プラスミン』という酵素です。プラスミンはフィブリンを切断し、血栓を細かく分解していくことで、最終的に血栓が溶けていくという仕組みになっています。

SMTPのような化合物は、血栓を溶かすプラスミンの元となる『プラスミノーゲン』に作用して、その立体構造を変化させることで、プラスミノーゲンがより早くプラスミンに変換されるようになります。そして、生成プラスミンがさらに血栓を溶かすと、新しいプラスミノーゲンが血栓に集まり、分解していく反応がどんどん加速していくのです」(蓮見氏)

プラスミノーゲンがプラスミンに変わる過程は、特定の部位が切断されることで起こり、先述した既存の血栓溶解薬であるt-PAはプラスミノーゲンを直接切断してプラスミンを生成します。生成されたプラスミンが血栓の主要成分であるフィブリンを分解し、血栓を溶かしていく流れになっています。

その一方でSMTPは、直接切断するのではなく「プラスミノーゲンの形を変える」ことで血栓表面への結合量を増やし、その結果として「プラスミンへの変換が効率化され、より多くのプラスミンが生成される」と蓮見氏は述べました。

さらにSMTPには血栓を溶かす作用に加え、「出血を抑える」という特長もあります。脳梗塞の治療中に血流が回復することで、二次的に脳出血が起こる「出血転換」という現象について、t-PAを使うと血栓は溶けるものの、急激な血流の戻りによって出血が悪化する場合があり、死亡率が高くなるケースもあるそうです。

それがSMTPでは、血栓にプラスミノーゲンが結合し、プラスミンに変換される自然な仕組みを活かしつつ、血栓溶解を進めていきます。そのため、急激な血流の戻りによる出血が抑えられ、出血リスクを大幅に軽減できることがマウスモデルを使った実験で確認されたといいます。

「私たちは、多くの実験や共同研究者と議論を重ねながら、SMTPの作用やメリットを明らかにする研究を進めてきました。その結果、SMTPには『血栓を溶かす作用』と『炎症を抑える作用』という、全く独立した二つの働きがあることが分かりました。つまり、SMTPはこの二つの作用を同時に持つことで、脳梗塞の進行を抑え、治療に理想的な特性を備えた薬であることが示されたわけです」

従来にない特長を持った脳梗塞治療薬で実用化を目指す

現在、まさに「TMS-007」の実用化に向けて取り組んでいるティムスですが、脳梗塞治療における2つの基本コンセプトを掲げています。

1つ目は血栓を除去すること。脳梗塞で麻痺や障害が起こるのは、脳に血液が届かないことが原因であるため、血栓を取り除き、血流を回復させることが重要になるわけです。そして2つ目は神経細胞の保護です。血流を戻すだけでは、再灌流による出血やさらなる細胞死が起こる場合がありますが、SMTPはこの再灌流の際に炎症を抑えることで脳細胞を守ります。

このように、「血流回復」と「神経保護」という相乗効果を併せ持った、従来にない新しいタイプの薬だと蓮見氏は語りました。

今後は世界規模のグローバル臨床試験「ORION」を進めていく計画で、急性期脳卒中の重症度評価スケール「NIHSS」で5点以上の中等度~重度の脳卒中患者740名(18~90歳)を対象に、CORXEL社主導でフェーズ2・3試験を順次実施していくとのこと。

「臨床試験では、血流回復と炎症抑制の相乗効果を最大限引き出すことを目的としており、2029年12月までの完了を目標にしています。TMS-007は、多くの患者を救う新たな切り札となる薬になると考えられています」

急性期の脳梗塞治療における承認薬が1つしかないという状況から、今回のTMS-007が実用化されれば、医療現場に新たな治療薬の選択肢が加わるでしょう。そうなれば、より多くの人の命を救うことができるのではないでしょうか。

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