最も治療しにくいがんとも言われる「膵臓がん」は早期発見が難しく、また高齢化や生活の欧米化が進む現代日本では増加傾向にある難治性の病気。
これまで手術・投薬が主な治療方法と考えられてきたがん治療ですが、膵臓がんと診断された際には陽子線治療という選択肢があることをご存知でしょうか。
膵臓がんの陽子線治療
陽子線治療とは「放射線療法」の一つである粒子線治療の一種。
水素の原子核である陽子を光の速さの70%近くまで加速させ、陽子線(粒子線)としてがん細胞にぶつけることでダメージを与える治療法。
これまでの放射線治療で使われる光子線「X線・ガンマ線」との最大の違いは、陽子線は設定した場所で運動エネルギーを放出して停止する性質があり、周辺の健常な細胞にダメージを抑えながら、病巣にピンポイントで照射することができるという特徴があります。
また、膵臓は胃の後ろ側にあり、膵臓がんのほとんどが「膵管」と呼ばれる管にできることから、粒子線を使用した放射線治療が非常に有効なのだそう。
陽子線治療でがん細胞を小さくしたのち、がんの切除手術や抗がん剤治療を組み合わせる治療も大きな成果をあげているため、陽子線治療は難治性の病気だった膵臓がん患者に希望をもたらす治療法として注目されているのです。
さらに陽子線治療は治療時間が短く、来院から照射終了までの病院滞在時間は1時間程度で終了することから、入院することなく通院での治療も可能。
しかし、現在のところ膵臓がんに対する陽子線を使用した放射線治療を行える医療機関は限られているほか、膵臓がんの症状全てにこの治療法が使えるわけではないため、その点は理解しておくようにしましょう。
がんと診断されたらセカンドオピニオンの検討が重要
セカンドオピニオンとは、自身の病気や治療方針などについて、医療機関や医師が出した診断が正しいかどうか、別の病院・医師に求める助言や診断のこと。
一つの医療機関で推奨される治療法は、その病院でできることが中心になるため、主治医以外の意見を聞くことによって、新たな治療法の発見や診断の正確性を図るために行われます。
疾患・病気の状態は人によってそれぞれ異なるほか、進行具合によっても取れる手段が変化するもの。
WEB上で調べたとしても全体的・表面的な部分だけしか判断がつかないことも多いのですが、セカンドオピニオンはその患者自身の病態なども分かるため、その病態や患者の体力などに一番見合った治療法を提示できることはメリットと言えるでしょう。
しかし、セカンドオピニオンは闇雲に医療機関を選んでしまうと、ほとんど同じ診断が下されてしまい、後悔してしまう可能性もあります。
セカンドオピニオンをどこで受けるか選ぶならば、新薬を専門的に扱っている研究機関や、陽子線治療を扱う医療機関といった、最初に受診した医療機関では行っていない治療法を提供しているところを選ぶようにしましょう。
南東北がん陽子線治療センターが膵臓がんの陽子線治療に関するセミナーを開催
福島県郡山市にある「南東北がん陽子線治療センター」は、東京都内で市民公開講座を開催します。
今回は難治性がんである膵臓がんに挑むと題し、切除が不能な状態の膵臓がんへの陽子線治療について、南東北がん陽子線治療センター センター長の村上昌雄先生と、総合南東北病院 名誉院長の寺西寧先生が登壇し解説。
自身や親族で膵臓がんと診断された方、セカンドオピニオンを検討している方、膵臓がん治療について知りたいという方は申し込んでみてはいかがでしょうか。
開催日時:2025年10月25日 開演14時、開場13時30分(1時間程度)
開催場所:日本橋高島屋三井ビルディング9階【日本橋ホール】
住所:東京都中央区日本橋2丁目5-1
アクセス:https://www.nihonbashi-takashimaya-mitsui.jp/access/
参加費:無料
定員:190人(先着申込順)※定員になり次第受付を締切ります
問合せ先:南東北がん陽子線治療センター(024-934-3888 平日8時30分〜17時)