プラント・環境設備の建設・エンジニアリングなどの事業を展開する三菱化工機株式会社による新プロジェクト発表会が3日(木)、その拠点をなる川崎で発表されました。その名は「MKK PROJECT by 三菱化工機」。

これは同社が有する環境対応・創エネルギー技術と、いくつもの共創パートナーが有するアセットやノウハウを活用・融合させることで社会課題解決ソリューション、およびビジネスモデルの創出を目指すプロジェクトであり、同発表会では、川崎市を拠点とした新しいアリーナ建設におけるクリーンエネルギーの活用や、循環型農業の推進に向けた大学との共同研究など、具体的な取り組みが紹介されました。

具体的には、三菱化工機が約90年にわたって培ってきた環境対応技術を基盤に、多様な分野の知見やアセットを掛け合わせ、5つの活動分野(スポーツ&カルチャー、環境・災害対策、食・医療、学び・人材育成、地域創生)において、多様な共創パートナーとともに、世界を循環型社会に変える様々な事業を創り出していくとのことです。

まず5つの活動のうち、2025年度は「スポーツ&カルチャー」において、川崎で新たなアリーナシティ・プロジェクトとして、世界最先端の環境対応型アリーナ建設に向けた実証実験などの協業を、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)と進めていくことが発表になりました。DeNAと京浜急行電鉄株式会社が進め、スポーツをはじめとしたさまざまな興行が開催できるアリーナを中心に、宿泊施設、飲食施設、アート空間、公園機能などを備えた複合エンターテインメント施設が、2030年10月に開業。

また、「食・医療」「学び・人材育成」においては、上智大学と「フード&エネルギーのサーキュラーエコノミー化」をテーマに社会連携講座を今秋開設する予定とのことで、三菱化工機株式会社と上智大学は、その社会連携講座の開設に向け、7月3日(木)付けで覚書を締結しました。

これらすべての取り組みの拠点となるエリアが、日本の高度経済成長を支えてきた工業都市であると同時に、歴々の公害・環境問題に苦しみつつも、時々の最新環境技術によって課題を解決してきた歴史を有している「川崎」です。歴史や独自の文化がベースにある「場のエネルギー」、そこに集うアスリートやアーティストが持つ「人のエネルギー」、地元企業が長年培ってきた「技術のエネルギー」が融合する川崎を「Energy創発特区」と位置づけ、川崎を拠点に新たなビジネスモデルを創出。世界ブランドへ昇華させていくことを目指すと同時に、ひいては社会課題の解決も目指していくとのことです。

なお、このプロジェクト発足の背景には、水素製造やバイオマス活用において日本の企業は高い技術力を有しているものの、政府が推進している「2050年カーボンニュートラル」を達成するためには、企業個社による技術開発と製品供給だけでは不十分であることが前提問題としてあります。

そこで、様々な業界・業種が参画して、需要・市場創出を含めたビジネスバリューチェーン全体を俯瞰して活動を推進していく必要があり、その社会実装においては、法制度や人材育成といった周辺環境の整備も不可欠であるものの、現実的には水素やバイオマスなどによる地域循環型エネルギーシステムの技術供給はプロダクトアウト先行で、必ずしも需要創出が伴っていないこと、また、そのサプライチェーンも部分最適にとどまっており、結果として事業収益性が低いという課題が実際にあります。

この状況を改善するため、MKKプロジェクトが発足。川崎市および神奈川県に所在する企業や団体を中心とした多種多様な共創パートナーとともに、水素やバイオマスなどによる地域循環型エネルギーシステムの開発供給と、それらの需要開発(ビジネスデザイン)を両輪で推し進め、循環型社会における新たなビジネスモデルの構築を、三菱化工機が中心となり、推し進めていくことになりました。持続可能な発展に挑戦し、快適な社会の実現に向けて動き出したMKKプロジェクトに注目です。