無線でデバイスをインターネットに接続することができる通信規格の1つ「Wi-Fi」の誕生とデバイスの進化によって、私たちの暮らしは驚くほどの成長を遂げました。
格段の進歩を遂げたWi-Fiには様々な活用方法があるのですが、その中の1つにWi-Fiを活用して遠方に住む親や祖父母の様子・安否をリアルタイムに知る、といった使い方ができる仕組みがあることをご存知でしょうか。
Wi-Fiの新たな活用方法「Wi-Fiセンシング」とは?
「Wi-Fiセンシング」とは、Wi-Fiの電波の揺らぎによって、人間や動物の行動を検知することができる技術のことを指します。
Wi-Fiは電波によって各端末をインターネットに繋げたり機器同士を接続しているのですが、電波のやり取りの間に障害物が入ってしまうと電波が通りにくくなります。
特に金属は電波を反射・吸収するほか、水は電波を減衰させてしまう代名詞とも言える存在。
人間の体の60%は水分でできているので、人体は電波を阻害してしまう物体であり、こういったものが間にあることで電波がゆらいでしまうのだとか。
Wi-Fiセンシングはこの性質を利用し、電波の伝わり方が変化したかどうかを測定することにより、人・動物の行動を検知することができるのです。
「それってカメラを使えばいいのでは?」「モーションセンサーがあるじゃないか」と思われた方もいるかもしれませんが、カメラは死角に入ってしまうと当然検知できず、センサーも設置した特定箇所のみの検知しかできないため、広いエリアをカバーするためには多数のセンサーや死角を補う位置へ設置しなくてはいけないという欠点がありました。
しかし、Wi-Fiセンシング技術を活用することで「広いエリアを埋める見えない目」の役割を果たし、Wi-Fiの電波が届く範囲内の人・動物の存在や動きを検知することが可能。
さらに、電波は映像等を残しません。
防犯カメラがプライバシー侵害となった判例もある中で、このWi-Fiセンシングを使った手法はプライバシーに配慮された検知方法と言えるのです。
Wi-Fiセンシング技術による未来の暮らし
では、実際にWi-Fiセンシング技術が発展することで、どのような未来が実現するのでしょうか。
●ホテルの入室/退室時に客室内のIoT製品を自動操作
例えば、Wi-Fiセンシング技術を使って「客室に入室したことを検知すると電源をONに、人がいなくなったことを検知すると電源をOFFにする」といったことをIoT機器との連動で実現できます。
機器の一斉連動だけでなく「呼吸をしている・していない」といった体調や安否の確認も可能となっているのだとか
●ビルの警備などに活用!消灯時の巡回でオフィス内に人がいるかどうか事前チェックが可能に
オフィスの執務室や会議室内に設置することで、電波のゆらぎにより人の在・不在を感知することが可能。
深夜などに発生した異常を確実に検知していち早く駆け付けることで、居残り者の有無、不法侵入といった犯罪の早期発見・解決にも役立ちます。
●スマートメータ&AI解析で見守る「おうちモニタ」との連携
株式会社ビーマップは、スマートメーター(電力メーター)を活用した高齢者見守りサービス「おうちモニタ」を提供しています。
スマートメーターの利用データを活用し、普段の生活とは異なる電力使用が起きていないかを、日々の電力使用量データをAIがの解析し、不審なデータを検知すると異常として判定を行い、アラートとして通知。
アラートは事前登録した家族・管理会社へ送られるため、駆けつけ対応などを迅速に行うことが可能。
このサービスとの併用によって、より精度の高い見守りサービスの提供が実現します。
「ワイヤレスジャパン 2025」で製品展示も実施
今回、上述したWi-Fi 7センシング機能が利用可能なHUAWEI製のアクセスポイントが、2025年6月2日より株式会社ビーマップから発売開始されます。
HUAWEIとビーマップの協力のもと、日本で初めてのWi-Fiセンシングを利用できる製品でありながら安価な点が本製品の特徴。
ビーマップ 代表取締役社長の杉野文則氏は、
「この製品の導入にあたり、事前に中国深センのホテルで実体験をしました。そのホテルでは宿泊客の利便性を確保しつつ、館内の消費電力抑制を両立する運用が実現されていただけでなく、客室に入室するタイミングでテレビが自動的にONとなり、私への歓迎の言葉が映し出されるといった顧客満足度を高める工夫までも行われているのを目にした時、Wi-Fiセンシングに多くの可能性があることを実感しました。」
と自身の体験を交え、Wi-Fiセンシング技術の発展で、さらに利便性が向上する可能性を示しました。
ビーマップは、本製品を5月28日〜30日まで開催する「ワイヤレスジャパン 2025」に出展し、本製品の公開、長距離ミリ波通信関連、IPカメラなどのIoT関連の製品展示、さらにこれらの製品を活用した応用例などを紹介するそう。
さらに、日本国内でデータをAI等で解析するデータセンターの構築を、2025年夏を目途に進めていくことも発表しています。
Wi-Fiセンシング技術が日本で普及することで、高齢化社会が加速する日本においても非常に効果的な活用ができるだけでなく、プライバシーに配慮した検知システムの構築など、まさに新たな「目」ができる未来が目前に迫っています。
ぜひWi-Fiを活用したセンシング技術に興味がある方は「ワイヤレスジャパン 2025」に出展するビーマップのブースへ足を運んでみてはいかがでしょうか。
株式会社ビーマップ https://www.bemap.co.jp/
展示概要
●ワイヤレスジャパン × ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2025
開催日時:
・会場開催:2025年5月28日~30日 10時~18時(最終日のみ17時終了)
・オンライン開催:2025年6月16日~30日
会場:東京ビッグサイト 南3・4ホール(東京都江東区)
主催:株式会社リックテレコム テレコミュニケーション編集部
同時併催展:運輸安全・物流DX EXPO 2025
公式サイト:https://wjwtp.jp/2025/
※入場にあたって、上記サイトからの来場事前登録(無料)が必要
【ビーマップ社 出展情報】
ブース番号:W-02
出展社名義:802.11ah推進協議会(AHPC)/無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)
※2団体およびビーマップを含む会員各社による共同出展