「ビフィズス菌!」と叫ぶ声が会場に響く――。そんな少し不思議でユニークな体験が、大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」で話題になっています。森永乳業が展開する体験型コンテンツ「VR腸内クエスト」は、手の動き、声、そして脳波という3つの入力を使って、腸内に潜む悪玉菌と戦うシューティングゲーム。まさに、近未来のインタラクティブ技術を活用したユニークな試みです。
このゲームは、単なるエンタメではありません。体験者の体の情報(PHR)をもとに、ひとりひとり異なる腸内環境ステージが生成されるため、体験はすべてオーダーメイド。声で「ビフィズス菌!」と叫ぶことで「ビフィズス菌爆弾」が投下されるという仕掛けもあり、会場では子どもから大人までが楽しみながら腸内環境を学べる体験の場となっています。
4月の開幕からわずか32日間で、体験者は累計1万人を突破。プレイ中に叫ばれた「ビフィズス菌!」の回数はなんと20万回を超えたといいます。健康への関心が高まる中、テクノロジーの力で“体の内側”に注目を向けるこのコンテンツは、多くの人の興味を惹きつけているようです。
腸が舞台のVRシューティングとは?

「VR腸内クエスト」は、その名の通り、プレイヤーの腸内を舞台にした体験型のシューティングゲームです。操作は、手の動き、声、そして脳波という3つのアクションで行われ、未来のテクノロジーを取り入れた没入感の高い設計が特徴です。
ゲームは、悪化した腸内に潜む“悪玉菌”と戦うストーリー。プレイヤーは手を使って攻撃をしたり、「ビフィズス菌!」と声を出すことで、特別な技である「ビフィズス菌爆弾」を発動させることができます。声が攻撃手段になるという斬新な仕組みは、子どもから大人まで多くの参加者に驚きと笑いを提供しています。
さらに、会場で測定される「PHR(パーソナルヘルスレコード)」を使って、参加者ごとに異なる腸内環境のステージが自動生成されます。その数はなんと約1億通り。これにより、一人ひとりが“自分専用”の腸内世界でゲームを楽しめる仕掛けになっています。
悪玉菌のキャラクターたちはステージごとに異なり、最後にはボス戦も用意されており、ゲームとしての完成度も高く、ただ遊ぶだけでなく、体験を通して「腸内環境は人によって違う」という学びや、ビフィズス菌の働きについて自然と理解が深まるようになっています。
なお、7歳以上であれば体験可能ですが、一部健康状態によっては体験を控える必要がある点も明記されており、来場者の安全に配慮した設計となっています。
1万人が熱狂した理由
この「VR腸内クエスト」は、万博の開幕からわずか32日間で、体験者数が累計1万人を突破するほどの人気ぶりを見せています。連日多くの人が森永乳業ブースに足を運び、ゲームを体験する行列ができるほどの盛況ぶりとなっています。
注目すべきは、ゲーム中に「ビフィズス菌!」と叫ぶ回数です。ゲームではこの発声が攻撃のトリガーとなる仕組みで、来場者全体での叫びの総数は20万回を超えたとされており、一人あたり平均20回ほど叫んでいる計算になります。それだけこのゲームが体を動かし、声を出して楽しむ“参加型”であることがわかります。
体験後の来場者からは、さまざまな感想が寄せられています。小さな子どもたちからは「人間の腸ってすごい!」「家に帰ったらビフィズス菌とろうかな」といった声があり、大人からも「体験型コンテンツとしておすすめ」「すごい没入感だった」などのリアルな感想が届いています。また、海外からの来場者も多く、「Bifidobacterium bomb!?Amazing!(ビフィズス菌爆弾!?すごい!)」といった反応もあったとのことです。
これらの反応からも分かるように、ゲーム性だけでなく、学びの要素や記憶に残るインパクトがしっかりと備わっていることが、多くの人の心をつかんでいる理由だといえそうです。
“ビフィズス菌でスーパーヒューマン”を体験で学ぶ

森永乳業が出展している「大阪ヘルスケアパビリオン」には、明確なテーマがあります。それが、「ビフィズス菌でスーパーヒューマン」。腸内環境の改善を通じて、人の体と心のポテンシャルを高めるというメッセージを、未来志向の体験を通じて伝える構成になっています。
このパビリオンでは、「VR腸内クエスト」を中心に、体験しながら学べる展示が多数用意されています。例えば、腸内細菌の模型展示や、参加者が大腸の中に入り込んだかのような巨大なオブジェの演出もあり、五感で腸の世界を感じ取ることができる空間になっています。
特設サイトでは、「人の腸とともに進化し、100年以上寄り添ってきた企業として、森永乳業は腸の可能性を未来につなげたい」といった企業の姿勢も語られています。製品PRを前面に押し出すのではなく、「知って、感じて、考える」ヘルスケア体験として、多くの人に新たな気づきを与えることを目的としている点が印象的です。
ビフィズス菌と聞くと、食品のイメージが強いかもしれません。しかし、こうしたインタラクティブな展示を通じて「自分の体の内側」や「健康とのつながり」について考えるきっかけが提供されている点が、パビリオン全体の魅力と言えるでしょう。
森永乳業 万博特設サイト:https://www.morinagamilk.co.jp/expo2025/
健康とテクノロジーがつなぐ“体験”の価値
大阪・関西万博の会場で注目を集めている「VR腸内クエスト」は、単なる最新技術のデモンストレーションにとどまらず、誰もが楽しみながら“自分の体のこと”を考えるきっかけを与えてくれる貴重なコンテンツです。手や声、脳波といった体の機能を活用して進めるゲームの中で、私たちは知らず知らずのうちに腸内環境の大切さや、ビフィズス菌の役割に触れることができます。
未来の健康を考える上で、テクノロジーは大きな可能性を秘めています。その入り口に立つような体験ができるこのコンテンツは、大人も子どもも関係なく、誰もが“腸とテクノロジーのつながり”を実感できる貴重な場と言えるでしょう。万博会場を訪れる機会があれば、ぜひ森永乳業のブースを覗いてみてはいかがでしょうか。