山梨県や内閣府(防災担当)・観光庁・新潟県・長野県・静岡県は「大規模災害時における外国人観光客の超広域避難具体化研究会」の立ち上げを、2026年7月2日に発表しました。
外国人観光客の広域避難・帰国に関する研究会を立ち上げ
年々外国人観光客が増加するなど、インバウンド需要が急速に拡大する一方で、激甚災害発生時における外国人観光客の広域避難や帰国に関わる法的な位置づけ、具体的な実務ガイドラインなどは未だ十分に整備されていないのが現状です。
この法と実務の空白を解消すべく、これまで独自に防災対応力を研究してきた新潟県・長野県・静岡県・山梨県の4県の研究成果を国家レベルの政策へ実装・具体化することを目指す研究会が、本格的に立ち上げられました。
また発表当日には、富士山の噴火を想定した外国人観光客の帰国支援について検討を行うため、関係機関が参加するワーキンググループを開催。

このワーキンググループでは、具体的な脅威として「富士山噴火」を想定し、インバウンド観光の象徴的地域である山梨県富士河口湖町を最初のモデルケースに指定。
外国人観光客の帰国支援に向けた課題の抽出、具体的なルートや移送方法、広報手段に関して検討を実施。
本ワーキンググループには、東京大学名誉教授の藤井敏嗣座長のもと、関係省庁や自治体に加え、交通・インフラ事業者、各国大使館の担当者が一堂に会して、これまでの検討経緯や今後の進め方の整理、富士山噴火時に想定される火山現象の解説、そして「山梨県富士河口湖町」を舞台に、富士山噴火時を想定した実践的な広域避難に向けた意見交換を行いました。
「極めて重要な課題である」
研究会座長を務める、山梨県の長崎幸太郎知事は冒頭の挨拶で、

「政府は、令和8年(2026年)3月に新たな『観光立国推進基本計画』を策定し、2030年には外国人観光客を6,000万人にすることを目標としています。大変多くの外国人観光客が我が国を訪れる中、大規模災害が発生した際に、いかに外国人観光客の安全を確保し、母国へお帰りいただくか、その対策は極めて重要な課題であると認識しています。」
と話し、これまで行ってきた研究結果をもとに研究会の立ち上げを宣言。
そして、本取り組みが先進的なものであり、重要な一歩となると語りました。
また、ワーキンググループ座長を務める、東京大学名誉教授・富士山科学研究所所長の藤井敏嗣氏は、

「富士山噴火に関しては、2023年に富士山火山防災対策協議会によって『富士山火山避難基本計画』が策定されています。その中で、噴火する前の段階、噴火警戒レベルが1から3に上がった段階で、観光客は周辺から退避していただくということが計画の中に書かれております。そのタイミングが外国人観光客の大規模避難を開始する1つの目安になりますので、富士山の噴火を対象として、現場に即した具体的な対応策を検討していきたいと思います。」
とコメント。
また、内閣府・防災担当でワーキンググループ共同事務局・参事官の森久保司氏は、今年3月に内閣府が大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループを開催し、関係機関との連携協議を始めていると言及。
「外国人観光客は非常に多く、住民だけではなく観光客も含めた広域避難については未着手の課題も多く、関係者・関係機関は多岐にわたると考えています。現状や課題を整理した上で、関係機関が密に連携して対応を検討するということが重要だと考えています。本グループではそのような課題に対し、富士河口湖町をモデルケースとした訓練を企画・実施して、関係者の皆様とともに具体的な対応策を検討してまいります。」
と説明。
今回の立ち上げをもとに、今後は実効性のある検討と訓練を行っていきたいと語りました。
藤井座長はワーキンググループ後のインタビューで「今後どのような仕組み・連携が不可欠になっていくか」を聞かれ、
「1つは情報伝達における言葉の問題。住民の方はハザードマップなどを含め、色々なことが周知されていますが、外国人に限らず、観光客はそういった情報を知らないまま富士山周辺に訪れることになりますよね。その点を踏まえた上で何ができるのか、どういう手法が良いのかということをきちんと考えたいと思います。」
と語り、激甚災害時の円滑な情報伝達が課題になると説明。
本取り組みをまずは始動し、徐々に問題点を洗い出していきたいと語りました。
