相次ぐ値上げのニュースが日常茶飯事になり、買い物のたびに「節約」の二文字が頭をよぎる今日この頃。スーパーの特売品をチェックし、毎月の固定費を見直すなど、生活の防衛策に励んでいる人も多いのではないだろうか。しかし、すべての支出をギリギリまで削り落とすような生活は、息が詰まってしまうのもまた事実である。
現代の消費スタイルを見渡してみると、削れるところは賢く削る一方で、自分の好きな分野に対しては「ここだけは妥協しない」という小さなご褒美枠を残している人が増えている。その身近な例として、今回注目したいのが日々の食卓に並ぶ「パン」である。
あなたは月にいくらパンに使っている?
パン屋さんと消費者をつなげる様々なプラットフォームサービスを提供している株式会社パンフォーユーが、自社サービスの会員とパンに関心のある層を対象に実施したアンケートによると、全体の56.2%が毎月3,000円以上をパンに支出していることが分かった。さらに、毎月5,000円以上を費やす高支出層も2割(21.3%)を超えている。


この「月3,000円」「月5,000円」という数字、みなさんは高いと感じるだろうか、それとも安いと感じるだろうか。
家計全体の食費として考えると、パンだけで数千円というのは少し贅沢な気もしてくる。しかし、これを私たちの日常の金銭感覚に近い「週単位」や「日単位」に細分化してみるとどうだろう。
まず、毎月3,000円以上を費やす「過半数のライン」を週に直すと、1週間あたり約750円。1日あたりに換算すれば、わずか100円ちょっと(約107円)である。この数字だけを見ると、コンビニで毎日お水やお茶を1本買うのと同じか少し安いくらいだ。そう考えれば、月3,000円のパン代は決して「高い買い物」ではなく、十分に現実的な数字だと思えてくる。
では、毎月5,000円以上を費やす「こだわり層のライン」はどうだろう。こちらは1週間あたり約1,250円、1日あたりに直すと約178円となる。
1日約178円。これは、コンビニで惣菜パンやおにぎりを毎日1個買うのとほぼ同等の金額だ。あるいは、平日はトースト1枚でシンプルに抑えつつ、週末に街のパン屋さんへ行って、丁寧に作られたお気に入りのクロワッサンやバゲットを2、3個まとめ買いする(これで大体1,000円前後)。そんな「週末のプチご褒美」を習慣にしている人なら、あっさりと超えてしまう金額なのである。
日々の買い物を思い返してみると、あなたも意外と「こだわり層」のラインに届いているのではないだろうか。
パン好きが朝食として食べたいパンの種類は?
それでは、毎月5,000円以上をパンに費やすこだわり層は、朝食に一体どんなパンを好んで食べているのだろう。もしかしたら、具材が贅沢に乗った惣菜パンや、見た目が華やかな菓子パンをたくさん買い漁っている姿を想像するかもしれない。しかし、結果はその真逆。こうした層の59.3%が、朝食に食べたいパンとして「食パン・塩パンなどのシンプル系」を選んでいるのだ。

惣菜パンや菓子パンは、味付けがはっきりしているため、一口目から分かりやすい美味しさがある。一方で、バゲットや食パンといったプレーンなパンは、小麦の香りや発酵の具合、職人の焼き加減がそのまま口の中に伝わる。ごまかしが効かないからこそ、お店ごとの個性がはっきりと現れるのが大きな魅力だ。
一度お気に入りのベーカリーで買った食パンの、あのモチモチとした食感や香ばしい香りで迎える「贅沢な朝の味」を知ってしまうと、日々の生活が少しだけ底上げされたような気持ちになる。だからこそ、良いパンの味を知ってしまった層はそこにお金をかけ続けるのかもしれない。
パン好きが「これだけは削りたくない」カテゴリーとは?
こうした「自分の好きなものには妥協せずにお金を使う」という姿勢は、パン以外のライフスタイルにもしっかりと繋がっているようだ。
同時期に実施された、同社のサービス会員を対象とした「物価高でも支出を減らしたくないカテゴリー」に関する別のアンケートによると、すべて節約すると答えた人はわずか17.2%にとどまった。つまり、8割以上の人がパン以外にも「ここだけは予算を削りたくない」という大好きな分野を持っていることになる。
では、パン好きの人たちがどのようなカテゴリーを大事にしているのかというと、1位は「コーヒー・お茶などの飲み物」で43.8%、2位「旅行・おでかけ」35.1%、3位「趣味・エンタメ」33.6%、4位「スイーツ・お菓子」29.6%と続いていく。

この結果から、物価高であろうとも自分へのご褒美としてリラックスできる時間やものを大切にしている現代人の価値観が垣間見える。
慌ただしい朝や、何かに追われる日常のなかで、「今日の朝ごはんは、あの店の美味しい食パンがある」と思えるだけで、ベッドから起き上がる瞬間の気分も少しだけ軽くなる。自分が本当に美味しいと思えるものを、自分の意志で選んで楽しむ。その小さな満足感が、1日を心地よくスタートさせ、「今日も良い日にしよう」と前を向くための原動力となっているのかもしれない。
惰性で買ってしまうものや無駄と思えるものはシビアにカットする一方で、大好きなパンや、ほっと一息つけるコーヒーといった「自分の大事にしたいもの」には良質なものを選ぶ。これこそが、ストレスをためずに毎日を楽しむための令和のライフスタイル術と言えそうだ。
