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震災から15年 福島の今を学生はどう伝えたか 神田外語グループの学びと挑戦

東日本大震災と原子力災害から15年。15年という時間は、震災を「過去の出来事」として語れる距離を、私たちに与えました。そんな今、福島の「現在」を、どんな言葉で、誰が、どこへ向けて伝えていくのか。その問いに向き合ったのが、...
ナイスコレクション 2026年1月21日

東日本大震災と原子力災害から15年。
15年という時間は、震災を「過去の出来事」として語れる距離を、私たちに与えました。そんな今、福島の「現在」を、どんな言葉で、誰が、どこへ向けて伝えていくのか。その問いに向き合ったのが、神田外語大学の学生たちでした。

学生たちは福島を訪れ、人の話を聞き、日常に触れながら、自分たちなりの視点で福島を見つめ直しました。そして完成したのが、日本語と英語、二つの言葉でまとめられた「震災復興新聞」です。

この新聞の完成をきっかけに、学生と福島県知事が対話を交わす座談会が予定されています。これは単なるイベント告知ではありません。若い世代が、福島の今をどう受け止め、どんな未来につなげようとしているのか。その背景にある思いや学びに目を向けたくなる取り組みです。

学生が福島と向き合った「震災復興発信プロジェクト」とは

神田外語グループでは、福島県との連携のもと、学生自身が社会課題と向き合い、発信する学びを大切にしてきました。その取り組みの一つが「震災復興発信プロジェクト」です。

このプロジェクトでは、語学力を身につけること自体を目的とするのではなく、言葉を使って何を伝えるのか、どんな相手に届けるのかを重視しています。学生たちは福島県浜通り地域を訪れ、震災や原子力災害からの復興に向き合う人々の声や、地域の日常に触れながら取材を行いました。

教室の中だけでは見えてこない現実に向き合い、自分の言葉で整理し、外へ伝えていく。その一連の経験そのものが学びとなるよう設計されている点が、このプロジェクトの特徴です。福島を「学ぶ対象」としてではなく、「今を生きる場所」として捉え直す姿勢が、学生たちの取材と発信の土台になっています。

この取り組みが大切にしているのは、正解を教え込むことではありません。学生自身が現地で見たものや感じたことをもとに、どう受け止め、どう言葉にするのかを考え続けるプロセスに重きが置かれています。あらかじめ用意された答えに当てはめるのではなく、自分の視点で問いを立てることが求められます。

また、実際に現地へ足を運ぶことにも意味があります。資料や映像だけでは伝わりきらない空気感や距離感に触れることで、出来事は知識ではなく実感として立ち上がってきます。その体験を経て初めて、言葉の選び方や伝え方に対する意識が変わっていくのです。

語学を学ぶことと、社会と向き合うこと。その二つを切り離さず、学生自身が考え、発信する力を育てる。このプロジェクトは、神田外語グループが目指す実践的な学びを象徴する取り組みと言えます。

取材を通して見えてきた、学生たちの福島へのまなざし

プロジェクトに参加した学生たちは、福島を訪れる前、それぞれ異なるイメージを持っていました。ニュースや教科書を通して知っていた震災や原子力災害の記憶はあっても、「今の福島」を具体的に語れる人は多くなかったはずです。

現地での取材を通して学生たちが向き合ったのは、復興という言葉だけでは表しきれない日常の風景でした。地域で暮らす人の声、続いている営み、前を向こうとする姿勢。そうした一つひとつに触れる中で、福島は「過去の出来事」ではなく、「今も続いている場所」として立ち上がってきます。

学生たちは、自分が感じたことをそのまま受け止め、どう伝えるべきかを考えました。何を強調し、何をそのまま残すのか。答えが一つではないからこそ、言葉を選ぶことの重みと責任に向き合う時間になったことがうかがえます。このプロセスそのものが、今回の取り組みの核になっているように感じられます。

取材を進める中で、分かりやすさと正確さの間で迷う場面もあったはずです。伝えたい気持ちが強いほど、言葉は慎重に選ばなければなりません。伝えすぎても、削りすぎても、本来の姿から離れてしまう。そのバランスを考え続けること自体が、学生にとって大きな学びになったと考えられます。

福島をどう描くかは、同時に自分自身の立ち位置を問い直す作業でもあります。外から見ていた場所を、どの距離感で、どんな視点で語るのか。その問いに向き合いながら、学生たちは言葉を積み重ねていきました。完成した新聞の背景には、そうした迷いや思考の時間が確かに流れています。

日英版『福島とともに』に込められた思いと、世界への発信

日英版震災復興新聞(イメージ)

学生たちの取材の積み重ねは、一つの形として「震災復興新聞」にまとめられました。新聞のタイトルは『福島とともに』。そして英語版では『Together with Fukushima』と名付けられています。

この新聞が日本語と英語の二つの言語で作られている点は、今回の取り組みを象徴しています。日本の中で伝えるだけでなく、海外の人にも届く言葉で福島の今を伝えたい。そうした意図が、紙面全体から感じ取れます。英語版では、単に日本語を置き換えるのではなく、背景を知らない読者にも伝わるよう表現や構成が工夫されています。

言葉を別の言語に置き換える際には、文化や前提の違いも意識する必要があります。日本では共有されている出来事や感覚も、海外では丁寧な説明がなければ伝わりません。学生たちは、どこまで説明し、どこを委ねるのかを考えながら、表現を組み立てていきました。その過程は、翻訳というよりも、もう一度伝え直す作業に近いものだったと言えます。

また、行政や企業の取り組みだけでなく、福島で暮らす人々の声や思いを大切にしている点も、この新聞の特徴です。学生自身が見て、聞いて、考えたことを、自分たちの言葉でまとめる。その姿勢があるからこそ、読み手にとっても「誰かの代弁」ではない、等身大の福島像として伝わってきます。

完成した新聞は、今後、海外の提携校での発表や教育の場でも活用される予定です。学生の学びが教室の外へ、そして国境を越えて広がっていく。その広がりを支える土台として、この新聞は大きな役割を担っています。

対話の場として開かれる座談会、その先に続くもの

今回の座談会は、震災復興新聞の完成を受けて開かれる場です。ただし、ここでの対話は「完成のお披露目」にとどまるものではありません。学生たちが福島で感じたこと、新聞に込めた思いを、福島県知事や関係者と共有し、言葉を交わすこと自体に意味があります。

座談会では、取材前に学生が抱いていた福島への印象や、現地での経験を通して生まれた気づき、そして新聞という形で何を伝えようとしたのかが語られる予定です。学生の視点と、福島県が歩んできた復興の道のりが重なり合うことで、福島の「今」を多角的に見つめ直す機会となります。

この取り組みは、イベント当日で完結するものではありません。学生が自らの言葉で社会と向き合い、発信していく姿勢は、今後の学びや活動へとつながっていきます。座談会は、その歩みの途中に設けられた、一つの節目と言えるでしょう。

未来へつなぐために、学生の言葉で伝えるということ

震災から15年が経った今、福島について語る言葉は少しずつ変わってきています。復興という言葉の先にある日常や、人々の営みをどう伝えていくのか。その問いに、学生という立場から真剣に向き合ったのが、今回の取り組みです。

神田外語グループが大切にしているのは、知識を得ることだけでなく、社会と関わりながら学びを深めていく姿勢です。福島を訪れ、話を聞き、考え、自分の言葉でまとめる。その一つひとつの積み重ねが、学生自身の成長につながり、同時に社会への発信にもなっています。

座談会や新聞制作は、その過程で生まれた一つの形にすぎません。大切なのは、これからも学生たちが外に目を向け、世界と対話を続けていくことです。この取り組みが、福島の今を知るきっかけとなり、次の世代へと受け継がれていくことが期待されます。


神田外語グループ 概要

神田外語グループは、「言葉は世界をつなぐ平和の礎」を理念に掲げ、語学教育を軸とした人材育成に取り組んでいます。大学・専門学校・教育機関を通じて、国際性と実践力を兼ね備えた学びの場を提供し、社会や世界と向き合う力を育んできました。

近年は、地域連携や社会課題と結びついた教育にも力を入れ、学生が現場に足を運び、自ら考え、発信する機会を広げています。福島を舞台とした「震災復興発信プロジェクト」も、その一環として位置づけられています。
なお、神田外語グループは、学校法人佐野学園を母体として教育活動を展開しています。

公式サイト:https://www.kandagaigo.ac.jp/

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