美容大国・韓国。その響きに心惹かれた経験がある人は少なくないだろう。SNSや動画配信サービスを通じて、韓国の美容トレンドや最新施術に関する情報は日々更新され、日本国内でも注目度は高まる一方だ。とりわけ「渡韓美容」と呼ばれる、美容医療を目的とした韓国渡航は、単なる旅行の一環ではなく、生活スタイルの一部として浸透しつつある。
では実際、韓国で美容施術を受けた女性たちは、どのような目的や期待を持って渡航し、どのような施術を選び、結果に満足しているのだろうか。価格の安さや技術力、トレンド性といった魅力がある一方で、渡航にかかる費用や通院の手間、安全性への不安など、現実的なハードルも存在するはずだ。SNSで発信される「成功体験」だけでは見えてこない、リアルな利用実態を知ることは、これから渡韓美容を考える人にとって大いに参考になるはずである。
そこで今回は、SBCメディカルグループホールディングス(https://sbc-holdings.com/jp)の連結子会社であり、全国の医療機関への経営支援事業を展開するSBCメディカルグループは、直近5年以内に韓国で美容皮膚科の治療を受けたことがある女性1,002名を対象に、渡韓理由、施術内容、満足度、今後の意向などについて調査を実施した。
渡韓美容が選ばれる理由とリアルな費用事情

韓国で美容皮膚科治療を受けた女性たちは、どのような動機で海を越えているのか。今回の調査で最も多かった理由は「料金が安い」という声だった。実に56.9%が「価格の安さ」を挙げており、日本国内よりも割安な価格設定が、渡韓を後押ししていることがうかがえる。もちろん、価格だけがすべてではない。次いで多かったのは「施術・技術・効果が優れていると感じた(46.0%)」、「最新の美容トレンドが受けられると感じた(33.2%)」といった回答だ。美容大国としての韓国の技術力や、いち早く最新施術を試せるメリットも、女性たちにとって大きな魅力となっている。SNSを通じた情報拡散もその後押しとなり、美容好き層を中心に「渡韓美容」は一つのカルチャーとして定着しつつあると言える。

さらに注目すべきは、その費用感と滞在期間だ。調査によると、最も多かった滞在パターンは「2泊3日」で45.8%、次いで「3泊4日(19.9%)」が続いた。施術内容によってはアフターケアを含め複数日にわたる通院が必要となるため、短期旅行では済まないケースが一般的なようだ。
総費用については「8〜15万円未満」が25.0%と最多で、「5〜8万円未満(19.3%)」、「15〜18万円未満(14.6%)」が続き、全体の約6割を占めた。一方で「15万円以上」と回答した人も4割超にのぼっており、美容施術自体は手頃でも、渡航費や宿泊費を含めるとそれなりの出費になることがわかる。
このように、韓国で美容医療を受ける女性たちは、単なる価格志向だけでなく、技術やトレンド性を求めつつ、ある程度まとまった費用と時間をかけている現実が浮き彫りになった。渡韓美容は、気軽さと同時に一定の覚悟を必要とする選択肢であると言えるだろう。
満足度の高い施術とその裏側

調査では、施術ごとの満足度についても分析が行われた。最も高かったのは「オンダリフト」で、満足度は96.9%。たるみ改善や引き締め効果を期待できる上、痛みが少なく即効性がある点が支持を集めたようだ。続く「オリジオ(91.7%)」や「ポテンツァ(91.4%)」も高評価となり、いずれも肌引き締めや毛穴改善など複合的な美容効果が期待できる施術が上位を占めた。
一方で、「ステラM22(70.6%)」や「ハイフ(80.9%)」は満足度がやや低めだった。これらは施術後すぐに効果を実感しづらく、複数回の施術が必要とされるため、期待値とのギャップが影響していると考えられる。施術ごとの特性や効果実感までのスピードが、満足度に大きく関わっていることがうかがえる。渡韓美容では、施術選びが満足度を左右する重要なポイントと言えるだろう。
継続利用の壁と国内回帰の兆し

韓国美容皮膚科治療に対する満足度は総じて高い結果となったが、調査では同時に課題や不満の声も多く寄せられている。特に目立ったのが、「定期的な通院が難しい(41.4%)」という回答である。美容皮膚科治療は1回の施術だけで終わるものばかりではなく、効果を維持するためには数カ月ごとの通院が必要となるケースが多い。しかし地理的な距離や時間的制約、渡航コストを考えると、韓国まで何度も足を運ぶことは現実的とは言いがたい。
さらに「安全性が心配(32.3%)」という声も3割を超えており、トラブル発生時の対応や言語面での不安が背景にあると考えられる。SNS上では成功体験だけでなく、施術後の肌トラブルや対応の不備に関する投稿も散見されるようになっており、情報が溢れる中で安心できる選択をすることは簡単ではないのが実情だ。
また、「韓国まで行くのはコストパフォーマンスが悪い(29.0%)」という意見も一定数存在する。施術自体は安価でも、渡航費・宿泊費などを含めると結局高くつく、という現実的な問題意識が透けて見える。これらの結果を踏まえると、韓国美容には「一度きりの体験」としては魅力があるものの、日常的な美容習慣として継続するには負担が大きいという側面が浮かび上がる。

その反動として、「今後は日本国内で施術を受けたい(39.5%)」、「日本で施術を受ける頻度を増やしたい(25.7%)」と考える人が過半数を占めた。コスパや通いやすさ、安全性への安心感を求めて、美容施術を国内へ回帰させようとする動きが強まっていることは注目すべき傾向だ。SNSや口コミの情報だけでなく、自分にとって本当に無理なく続けられる選択肢を見極めることが、これからの美容医療利用ではより重要になってくるだろう。
【調査概要】
・調査内容:「渡韓して受ける美容皮膚科治療の実態」に関する調査
・調査期間:2025年5月26日(月)~2025年5月28日(水)
・調査対象:調査回答時に直近5年以内に渡韓して美容皮膚科治療を受けた経験がある女性と回答したモニター(1,002名)
・調査方法:インターネット調査
・調査委託先:PRIZMAリサーチ
今回の調査からは、韓国美容皮膚科治療の魅力と課題、その双方が浮き彫りとなった。費用や技術力、トレンド性といった理由で多くの女性が渡韓を選んでいる一方、通院のしづらさや安全性への不安、コストパフォーマンスへの懸念が、継続的な利用の壁となっている実態が明らかになった。
韓国美容は、非日常的な特別感や最新技術を手軽に体験できる選択肢として今後も一定の人気を保つだろう。しかし、美容医療がより生活に密着したものとなる中で、通いやすさや継続性を重視する層が日本国内へと目を向け始めていることも見逃せない動きである。
結局のところ、美容医療における「正解」は一つではない。渡韓か国内か、価格か安心か。その選択は、何を優先するかという個人の基準に委ねられる時代である。流行や周囲の声に左右されることなく、自分自身のライフスタイルや価値観に合った方法を選ぶことが、美容医療との賢い付き合い方と言えるだろう。