「AIに指示するだけで、あとは自動で動いてくれる世界」が、ついに現実になり始めています。
ブロックチェーン技術を活用して、AIが人間の手を借りずに安全に行動できる仕組みが生まれたのです。今回発表されたのは、Avacusを提供するSOWAKAが開発した『AIブロックチェーンエージェント(ABA)』というシステム。簡単にいうと、人間が「こうしてほしい」と目的を伝えるだけで、AIが自ら考え、動き、ブロックチェーン上で記録と実行をしてくれる新しい仕組みです。
しかも、記録は書き換えられない安全な形で残るため、間違いや不正を心配する必要もありません。
AIを使ったサービスはこれまでも数多く存在してきましたが、ここまで「ほったらかし」で動いてくれるシステムは珍しく、技術的にも非常に大きな一歩といえます。今回の実証実験では、仮想通貨の財布をAIが自動で管理し、送金や受け取りなどを人間の手を使わずに完了させることに成功しました。この発表は、これからのAIとブロックチェーンの使われ方に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。今後どのように進化していくのか、注目が集まりそうです。
「AI Blockchain Agent(ABA)」とは?

今回発表された『AI Blockchain Agent(ABA)』は、これまでのAIとは大きく違う特徴を持っています。従来のAIは、人間が細かい指示を一つ一つ出し、それを受けて動く「補助ツール」のような存在でした。たとえば、アプリで「この写真を加工して」「ここを修正して」と順番に指示を出すような使い方が一般的です。これをリリースでは「同期型」と呼んでいます。
これに対して、ABAはもっと自立した存在です。
人間が「資産を増やしてほしい」など、おおまかな目標だけを伝えると、あとはAIが自分で考え、行動の手段を選びながら目的達成に向かって動き続けます。しかも、その行動はブロックチェーン上で安全に管理され、途中で人間が何度も細かく介入する必要がありません。この仕組みは「非同期型」と呼ばれ、ABAがただの道具ではなく、独自に判断しながら動く存在へと進化していることを意味します。
さらに興味深いのは、ABAの登場によって、人間同士が話し合って決める必要があったことすら、AIが代わりに実行できるようになる可能性が出てきた点です。
これまで何日もかかっていた意思決定が、瞬時に実現するかもしれない。そんな未来を示す、新しい文明の形を提案する技術といえます。
実証実験成功が意味するもの

今回の実証実験では、人間が細かく操作しなくても、AIが自律的に資金を管理できる仕組みが実際に動くことが証明されました。具体的には、ユーザーが「この人にイーサリアム(ETH)を送ってほしい」といったシンプルな目的をABAに指示すると、ABAはその内容をもとに自分で送金の手順を組み立てます。ユーザーは最後に、送金を許可するための「署名」だけを行えばOKで、あとはABAがすべて自動で処理を完了してくれるという流れです。
一見すると簡単に思えるこのプロセスですが、実はAIとブロックチェーン技術を組み合わせて、ここまで高い自律性を持たせた事例はこれまで存在していませんでした。
今回、Avacusは「ウォレット機能」と「チャット機能」の両方を備えたサービスの中で、初めてこの仕組みを実用レベルで動かすことに成功しました。
これは、単なるアプリの便利機能というレベルを超え、AIが本当に人間の代わりに「考え」「行動する」時代が近づいていることを示す、重要な一歩と言えそうです。
「投資・財務・人材」すべてを変える ABAの3つの革命

投資プロセスの自動化と効率化
これまで投資といえば、人間が市場を分析し、銘柄を選び、タイミングを見ながら取引をするのが当たり前でした。ABAを使えば、「利益を最大化してほしい」というシンプルな指示だけで、AIが市場分析から資金配分、売買の実行、さらにリスクに応じた調整まで、すべてを24時間365日自律的に行ってくれるようになります。人間は戦略の大枠を決めるだけでよくなり、感情に左右されない、理想的な投資スタイルが実現できる可能性があります。
DAO財務管理の自動化と効率化
ブロックチェーン上で運営される「DAO(分散型自律組織)」では、資金管理が非常に重要な課題となっています。ABAを使えば、「コミュニティの成長に最適な運用をしてほしい」という指示だけで、財務管理を自律的に実行できるようになります。これにより、従来必要だった複雑な承認手続きが大幅に簡素化され、より透明で効率的な運営が可能になります。
人材獲得プロセスの自動化と最適化
プロジェクトに必要な人材を探す作業は、時間もコストもかかるものでした。ABAは「このプロジェクトに合う人を見つけて」という一言で、適任者の選定から報酬設定、交渉、契約、さらには支払いまでを一気に進めることができます。グローバルな人材市場を対象に、より素早く、より適切な採用を実現できる新しい手段として期待されています。
人とAIが共に動く時代へ 非同期文明の到来

ABAが本格的に普及すると、私たちの社会のあり方そのものが大きく変わるかもしれません。これまで人間は、機械やシステムを細かく操作して目的を達成してきました。しかし、ABAの登場によって、人間は「こうしてほしい」という意志だけを示す存在になり、実際の行動はAIが自律的に進めていく世界が現実になろうとしています。
さらに、ABAは人間同士の細かいコミュニケーションを必要とせず、目的に向かって自分で判断し、非同期に動き続けるため、これまで時間がかかっていた意思決定のスピードも劇的に上がる可能性があります。人とAIがお互いを待つことなく、それぞれが動きながら社会全体を前に進めるーーそんな「非同期エージェント文明」と呼べる新しい時代が、いま静かに幕を開けようとしています。
SOWAKAについて

SOWAKAは、Web3時代に向けた革新的なサービスを展開する企業です。現在は、スマートフォン向けのWeb3対応アプリ「Avacus」を提供しており、2021年10月からサービスを開始しました。Avacusは、仮想通貨を安全に管理できるモバイルウォレット機能と、チャットやグループコミュニケーションができるSNS機能を兼ね備えており、すべて無料で利用することができます。特に、PCを使わずにスマホだけでさまざまなブロックチェーンサービス(DApps)を簡単に使いこなせる設計が大きな特徴です。また、チャット機能では暗号資産の送受信や支払い請求も可能で、セキュリティにも力を入れています。
現在、SOWAKAはAvacusの開発・運営を中心に、DAOの組成・運営支援やWeb3時代に対応したコミュニティづくりに力を入れており、次世代型のインフラ構築にも取り組んでいます。
新しい社会への第一歩
今回、SOWAKAが発表した『AIブロックチェーンエージェント(ABA)』は、AIとブロックチェーンという2つの先端技術を組み合わせることで、人間の役割を大きく変えようとしています。単なる作業の自動化を超えて、人間が意志を示すだけでAIが自律的に動き、目的を達成していく――そんな新しい社会像が、いよいよ現実味を帯びています。
投資、財務管理、人材獲得といった分野での活用が期待されるABAは、これからの非同期型社会の設計図とも言える存在です。まだ始まったばかりの技術ですが、この小さな一歩が、私たちの日常や社会のあり方を大きく変えていくかもしれません。今後の展開に、引き続き注目していきたいところです。