日本最大級の求人情報数を掲載するアルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」などを運営するディップ株式会社は、空いた時間で「働きたい」「働いてほしい」という企業・求職者をつなぐ求人マッチングサービス「スポットバイトル」を2024年10月よりスタート。
現在、人材不足が深刻となり社会課題にも発展しています。
スキマバイトが注目を集める中、スポットバイトルを担当されている、ディップ株式会社 スポット統括部 首都圏営業部 部長の高橋優奈さん※にお話を伺いました。
※高橋さんの「高」は、正しくは「はしごだか」
なぜスキマバイトの利用がここまで広がっているのか
スポットバイトルは、スキマ時間を未来につなげる求人プラットフォーム。
スキマバイトは「日雇い」「日々の穴埋め」というイメージが強い中、スポットバイトルはスポット採用のニーズに応えつつも、各店舗のサービスの質向上のために“どうやって長期で働いてくれる人材を獲得していくのか”という顧客の悩みにも応えるため「スポットバイトル」と「バイトル」を連携させ、短期・長期それぞれの働き方の利点を訴求し、企業と求職者をつないでいます。
高橋さんによると、現在スキマバイトのニーズは拡大傾向にあるのだとか。
「求職者の働き方の多様化の影響が大きく、例えば副業が当たり前になったり、固定シフトから働きたい時に働く形への変化などのほか、コロナ禍も大きな要因となっています。そういった市場の変化を含めて、スポットワーカーの潜在人口が3倍ぐらい広がっていると思います。」
と、様々な要因によって、現在は3倍もの潜在人口がいるだろうと高橋さんは自身の見解を含め教えてくれたほか、そういったスキマバイトを利用する働き手たちが、これまで立地・業種・条件などで人材採用に苦戦していた企業で活用している傾向にあると語りました。
「例えば新規オープンした飲食店の場合、最近だとSNSで店舗の口コミや露出、販促活動もしていくと思いますが、本来は店舗・駅前などでビラ配りも行っていきますよね。来店者を増やす取り組みもしたいけれど、動かせる人員はまだ最小限しかいない。しかし、そのポジションのためだけに人を雇うには人件費がかかり過ぎるため、固定の人材というのも難しい。そういった際に穴を埋めるだけでなく、ちょっとしたプラスアルファの人材を雇いたい、という点でスキマバイトの活用が広がっているんです。」
スポットバイトルで実際に活用された例などを交えて解説してくれた高橋さん。
スポットバイトルでは、主に飲食・販売・サービスなどの業種が多いのだそう。
「もともとディップでは、長期アルバイト採用のための求人情報サイト『バイトル』を扱っており、特に飲食や販売を中心に多くの企業様にご利用いただいています。私たちは、この『バイトル』と『スポットバイトル』を掛け合わせることで、提供価値をさらに高めています。この連携によって生まれる最大の価値は、企業と求職者との『出会える数』を劇的に増やせることです。就業までのフローが異なる2つのサービスを組み合わせることで、企業は様々な働き方を希望する求職者にアプローチできます。たとえば、空いた時間で働きたいという求職者と出会い、人柄やスキルを確認した上で、『バイトル』を通じて長期雇用へとつなげることが可能になります。このように、ディップは採用の入り口を広げ、企業の採用課題を解決することで、より大きな価値を提供しています。」
バイトルとスポットバイトルを掛け合わせることで、採用・就業までのフローが異なるため、雇用の入口が広がるだけでなく、企業・求職者と「出会える数」が増加することが何よりも大きいのだと語りました。
シニア人材の躍進と同業他社サービスとの差別化点
60歳以上のシニア層が現在増加傾向にあり、バイトルではこの5年で約4倍にまでシニア人材が増加しているそう。
「シニアの方々にもっと活躍してもらいたいということを、私たちは営業の際にも顧客に伝えています。スキマバイトは応募した際に先着順でマッチングされる形となっており、長期バイトでは応募時に年齢、性別、経歴を確認の上面接に進めるかどうかを企業側が判断します。そのため、企業側が知らないうちに、自らフィルターをかけてしまっている現状があると思うんです。」
と指摘。
しかし、実際にスキマバイトでシニア人材を活用した企業から「すごく活躍してくれた」「頑張ってくれた」という声も多かったそう。
「とあるコンビニチェーンの例ですが、その店舗は立地が悪く、求人募集をかけても応募も面接もないことが悩みでした。そこで弊社の営業が“スポットバイトルに掲載することで採用活動そのものの認知拡大を図っていきませんか?”と提案したところ、工務店で正社員として勤務している50〜60代の方が、スポットバイトルで応募してくださりました。数回スポットバイトルで勤務することで、その方の働きぶりや人柄を知り、結果長期での採用に繋がりました。店長からは『アルバイトの中で一番よく働いてくれいる』といったコメントも頂きました。」
と、スポットバイトルでシニア人材を活用したことがきっかけで、長期雇用に至った事例も紹介。
「私たちが60歳・70歳になった時に、働く会社がなかったり、ただただ誰でもできるような仕事を任せられる会社しかなかったら悲しいじゃないですか。私たちの未来のためにも、今活躍されているシニア層の方のためにも、もっともっと年齢のバイアスを取り除いていくような働きかけを、スキマバイトのサービスだけでなく、長期での採用活動においても顧客に提案しています。」
高橋さんはディップが未来を見据え、シニア人材の活用を積極的に働きかけているのだと語りました。
また、ディップでは同社ならではの価値提供として「ユーザーファースト」を大切にしているそう。
「9月から各社のスキマバイトサービスが直前キャンセル時の対応見直しをされたかと思いますが、ディップでは企業都合によるキャンセルの場合の対応というものを、早期より展開しています。」
厚生労働省が2025年7月に「面接等を経由せず、先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立する」という見解を発表。
これまで「労働する前だから、給料は発生しません」とキャンセル料を払わない通例が多かったスキマバイト業界ですが、ディップは2025年4月より予定されていた勤務時間分の給与相当額100%を同社が事業主に請求し、ユーザーに支給する対応を進めています。なお、2025年4月以前に同様の理由で働く機会を失ったユーザーに対しては、給与相当額をディップの負担で支給しています。
高橋さんは、
「顧客からは『求職者だけが優遇されている』というご意見をいただくことがあります。しかし、私たちは企業側の将来的なリスクも考慮して行動しています。企業が一方的にキャンセルを行った場合、求職者からの信頼を損ない、結果として将来の採用活動に悪影響を及ぼす可能性があります。また、サービス全体への信頼を失い、安心して利用できる環境が失われることにも繋がりかねません。私たちが目指す『ユーザーファースト』とは、単に求職者を保護するだけでなく、企業と求職者の双方が安心してサービスを利用し、長期的な関係を築けるようにすることです。この考え方を、誠心誠意お伝えしています。」
と、求職者だけでなく企業の将来も考え、正しい法的根拠に基づいたサービスを提供しているのだと強調しました。
「ディップとして、スポットバイトルを通じて顧客の様々な課題、求職者の働く選択肢を広げるだけにとどまらず、多様な課題を解決できるよう人材、DXサービスを提供しています。そしてサービスを提供するだけにとどまらず、実際に営業が顧客のもとに足を運び、目で見て、声を聞き、働いている皆様のお話を伺い、顧客の課題解決に向き合っています。」
ディップはスポットバイトルだけでなく、他のサービスも組み合わせて企業・働き手双方がより良い関係で仕事を作る手伝いを今後もしていくとのこと。
仕事・アルバイトを探している求職者の方だけでなく、人材を探している企業にとってもマッチングサービスは重要なツールの1つ。
働き方が多様化した現代、求職者・企業を想い「ユーザーファースト」を掲げるディップの挑戦は続いていきます。