ファッションの世界では、服をどう着こなすかを伝える「着用画像」が欠かせません。しかし実際には、モデルを探したり撮影場所を手配したりと、多くの時間と費用がかかるのが現実です。新作が出るたびに準備を重ねることは、クリエイターや企業にとって大きな負担になってきました。
そんな課題に対して、新しいアプローチを提案するのがAIプラットフォーム「MaisonAI」が公開した新機能「着せ付け:Try-On」です。手元にある人物の写真と服の画像を組み合わせるだけで、AIが自然な着用イメージを自動で生成してくれます。モデルやカメラマンを手配しなくても、瞬時に複数パターンの着こなしを試すことができるのです。
さらに特徴的なのは、単なる画像生成にとどまらない点です。デザインのアイデアを生み出す段階から、着用イメージの作成、そしてECサイトやSNSでの販促まで、一連の流れをひとつのプラットフォーム上で完結できる仕組みが整っています。企画から販売までの流れを短縮し、ファッション業界の働き方を変える可能性を持っています。
AIによる自動生成と聞くと、便利な反面「本当に使えるのか」と疑問を抱く人もいるかもしれません。しかし実証実験では、この機能で作られた画像を使って実際に商品の売上に繋がった例もあり、単なる効率化ツールにとどまらず、販売の現場でも力を発揮することが示されています。
業界の課題とAIがもたらす解決策

ファッション業界では、新作コレクションやシーズンごとの商品を紹介する際に「着用画像」が欠かせません。消費者が購入を決める大きな要因は、やはりその服を実際に着たときのイメージです。しかし、このシンプルに見える工程の裏側には、多くの課題がありました。
モデルのキャスティングや撮影スタジオの確保、カメラマンやスタッフの手配といった準備には、膨大な時間とコストがかかります。さらに撮影スケジュールの調整は一筋縄ではいかず、少しでも遅れが出れば販売計画全体に影響を及ぼすこともあります。小規模なブランドにとっては、こうした負担が大きなハードルとなっていました。
そこで登場したのが「着せ付け:Try-On」です。人物の写真と服の画像を用意するだけで、AIがまるで本当にモデルが着こなしているかのような自然な着用イメージを瞬時に生成してくれます。これにより、従来必要だった撮影の手間を減らし、コストと時間の両方を大幅に削減できるようになりました。クリエイターは「この服をこんなモデルに着せたらどう見えるだろう」といったアイデアを自由に試せる環境を手に入れたといえます。
ワークフロー全体を変える仕組み

「着せ付け:Try-On」が注目される理由は、単なる画像生成の便利さにとどまらない点にあります。MaisonAIのプラットフォーム上では、商品の企画から販売までの一連の流れを一気通貫で進めることが可能です。
例えば、まずはデザインのアイデアをAIが形にし、そこから生成した衣装を着せ付け機能でモデルに合わせる。そして完成した着用画像を、ECサイトやSNSなど販促の場でそのまま活用できる仕組みになっています。これまで別々のツールや工程に分かれていた作業が、ひとつのプラットフォームでつながることで、全体のスピードが大幅に向上します。
従来は企画担当者、デザイナー、撮影チーム、マーケティング担当者など、多くの部署や外部パートナーが関わっていました。そのため情報共有やスケジュール調整に多くの手間がかかっていましたが、MaisonAIを活用することで工程がシンプルになり、効率的に進められるようになります。人とAIが協力し合いながら作業を進める新しいワークフローは、ファッションビジネスにおける「共創」の形を広げる可能性を秘めています。
実証実験での成果と実用性

新しい技術が登場すると、気になるのは「本当に使えるのか」という点です。「着せ付け:Try-On」はその点についても実績を示しています。開発段階で複数の企業と実証実験を行い、生成された着用画像を実際の販売活動に活用しました。その結果、このAIによる画像を使って紹介した商品が、実際に消費者の購買行動へとつながったケースが確認されています。
つまり、この機能は単なるコスト削減の手段にとどまらず、売上アップという具体的な成果を支える力を持っているということです。企業にとっては「撮影の手間を省ける便利なツール」という以上に、「販売促進に直結する実用的な仕組み」として位置づけられます。
AIが生成した画像を使うことで顧客の購買意欲を高められる点は、今後のファッションビジネスにとって大きな意味を持ちます。効率化に加え、売上にも直結する実用的な技術として期待が高まっています。
MaisonAIの概要と導入実績
「MaisonAI」は、株式会社AuthenticAIが提供する生成AIプラットフォームです。ファッションをはじめ、インテリアや雑貨といった幅広い分野で利用できることを目的に設計されており、文章生成から画像生成まで複数のAIモデルを一つの環境で使える点が特徴です。デザイナーやマーチャンダイザーなど、専門職ごとに必要な作業を支援する機能も備えており、企画や資料作成、マーケティングなど日常業務に活かせる実用性を重視しています。
導入はすでに進んでおり、2025年2月時点で約50社・累計8,000名以上が利用、生成された画像は120万枚を超えています。企業が全社的にAIを取り入れるケースも増えており、効率化だけでなく新しいビジネスの可能性を広げる場面でも活用されてきました。
利用者が安心して使えるよう、どのAIモデルを利用しているかを常に開示する透明性も特徴のひとつです。また、チームや組織単位での共同作業ができるワークスペース機能や、導入から運用までを支援する体制も整えられています。ツール提供にとどまらず、企業と共にAI活用を進める「伴走型」の姿勢が、導入企業の支持につながっているといえるでしょう。
AIが広げるファッションの新しい可能性
「着せ付け:Try-On」は、これまで多くの労力とコストを必要としていた着用画像の制作を根本から変える仕組みとして登場しました。モデルやスタジオに依存せずに自然な着こなしを生成できることは、効率化だけでなく、クリエイターの発想を自由にするという大きな意義を持ちます。
さらに、企画から販促までを一つのプラットフォームで完結できる点や、実証実験で販売促進に効果を発揮した実績は、AIが単なる便利ツールではなく、実際のビジネスを動かす力を持つことを示しています。
AIとファッションの融合によって、新しい表現や業務スタイルが今後さらに広がっていくでしょう。「着せ付け:Try-On」は、その未来を先取りする存在として、多くの企業やクリエイターにとって大きなヒントとなりそうです。