「BAKUNE」を代表するリカバリーウエアや、大谷選手愛用の「AiRマットレス」など、いま“睡眠の質の向上”をサポートするアイテムが大きな話題になっています。
多くの現代人が眠りの快適さを求める一方で、こうした快眠アイテムはどれも高価。興味はあっても、購入をためらってしまう人も多いのではないでしょうか。
そんな中、「まるでこたつソックス」で知られる靴下の岡本が、睡眠環境を足元から科学。
睡眠専用靴下「おやすみスイッチ」が3,500円(税込)で叶える、上質な寝心地と目覚めのメカニズムとは?
「温めて逃がす」常識を覆す放熱のサイエンス

岡本株式会社が行った独自調査では、現代人の約94.2%がが睡眠に何らかの課題を感じているという結果が出ています。多くの人が「睡眠の質」を求める中、冬場の「足元の冷え」がスムーズな入眠を妨げる大きな要因となっていることは想像に難くありません。 しかし、実は入眠に必要なのは単に「温めること」だけではないのです。眠りにつく直前、人の体は内部の熱を外に逃がして「深部体温」を下げるプロセスを必要としているからです。

そこで開発されたのが、「靴下サプリ まるでこたつ おやすみスイッチ」。 仕組みは極めてシンプルです。足首にある「三陰交(さんいんこう)」と、かかとにある「失眠」をピンポイントで温めつつ、つま先はあえて露出させて熱の逃げ道を作る“つま先オープン設計”を採用しています。

「冷え対策なのに、一番冷える場所を開けておく」――。この一見矛盾した設計こそが、人体が本来持つ眠りの仕組みを呼び覚ます、合理的な形だというのです。
【体験レポート】一晩履いてわかった「脳のシャットダウン感」
「論より証拠」。半信半疑の記者は、一晩「おやすみスイッチ」を着用し、その眠りのプロセスを検証してみました。

ふかふかに編み込まれたひざ丈のソックスは、ふくらはぎを優しく包み込んでいます。ですが、つま先が出ている部分はまだ冷たいまま。「これなら通常の厚手の靴下の方が良いのでは?」という思いで布団にもぐり込みます。
30分が経過。ふわふわの感触が心地よく、足首や足裏など、つま先以外の部分は暖かで快適。しかし、肝心のつま先はいまだに冷えています。もういっそ履き替えてしまおうか……。
次に気が付いたのは、明け方でした。
どうやら自分が気づかないうちに、深い眠りに落ちていたようです。あれほど気になっていたつま先の冷たさは、目覚めた時には心地よい温かさに変わっています。

そして、つま先が開放されているおかげでムレなどの不快感もなく、今までの「暑くて脱ぎ、寒くて履く」というあの煩わしい繰り返しで目を覚ますこともありませんでした。
岡本社長に聞く「温めて放熱する」靴下のロジック

取材の中で岡本株式会社 代表取締役社長・岡本隆太郎氏から語られたのは、長年にわたる足元研究の末にたどり着いた、ひとつの解答でした。
―― 夜、足が寒くて眠れないなら、既存の『まるでこたつソックス』で寝ればいいのでは?

岡本氏:そう思われるかもしれません。ですが、就寝時に足を完全に覆ってしまうと、熱がこもりすぎて深部体温が下がらず、逆に脳が覚醒してしまいます。
大事なのは、足の裏にある体温調節を担う「AVA血管」を拡張させること。足首を温めて血流を促し、つま先まで温かい血液を巡らせます。そして、あえて露出させたつま先から熱を逃がして血液の温度を下げ、それが静脈を通って体内に戻ることで、ようやく深部体温が下がっていく。この『温めて放熱する』サイクルこそが、眠りへと向かうスイッチになるんです。
―― 当初は女性向けでしたが、実際は男性の購入者も非常に多いそうですね。
岡本氏:驚いたことに、発売1年目から男性の購入比率が半分近くを占めていました。男性は、仕事のストレスなどで眠りに悩む方も多い。自覚症状としての冷えがなくても、睡眠改善のために履く靴下として選ばれているようです。五月病などで寝つきが悪くなる時期にも、ストレスフルな現代人の心身を支える存在でありたいですね。

―― ヒットを生んだ『まるでこたつ』は、かつては『三陰交を温めるソックス』という硬派な名前だったとか。
岡本氏:当時は漢方コーナーに置かれていて、なかなか価値が伝わりませんでした(笑)。それを身近な『こたつ』という言葉に変えてリブランドしたことで、ようやく広く皆様に届くようになったんです。
―― 最後に、この一足に込めた想いを教えてください。
岡本氏:靴下というものは、ほんの少しの工夫で毎日の生活を楽しくし、質を向上させてくれるもの。皆様の生活に寄り添い、日々を支える存在だと思っています。これからも足元から、現代人のウェルネスを支え続けていきたいですね。
日常に溶け込む「放熱デバイス」
実際に試してみて見えてきたのは、岡本社長が語った「温めて放熱する」という考え方でした。
つま先をあえて開放することで深部体温を下げる。この一見すると寒そうに思える仕組みは、睡眠を妨げるムレや不快感を解消するための、アナログかつ精密な『放熱デバイス』として機能していたようです。
3,500円という価格は、靴下としては安くありません。しかし、睡眠改善の入口としての投資価値は十分にあるといえるでしょう。

「靴下は生活に寄り添い、支えるもの」
岡本社長のこの言葉通り、この一足はストレス社会で戦う現代人の夜を静かに支える、欠かせない相棒となるかもしれません。
<取材・撮影・文/櫻井れき>
