東京都及び都内区市町村に寄せられた60歳以上の高齢者の相談件数は増加傾向にあり、令和6年度は約4万7千件と、相談全体の35%を超えているそう。
このような状況を踏まえ、東京都では9月を「高齢者悪質商法被害防止キャンペーン月間」とし、取組を強化しています。
増加する高齢者のトラブル相談
令和6年度消費生活相談概要によると、60歳以上の高齢者からの相談件数は47,182件で、前年度に比べ108.5%と増加しているそう。
都内の消費生活相談件数のうち、60歳以上の相談が全相談に占める割合も年々増加しており、6年度は35.6%に。
※高齢者の相談件数の推移図
東京都における高齢者の人口割合「28.3%」を上回っており、このことからも高齢者は悪質商法のターゲットにされやすく、トラブルも年々増加傾向となっていることが浮き彫りとなっています。
中でも相談件数が増加しているトラブルは、給湯器や太陽光発電の訪問販売が対前年度比「225.8%」で、無料点検を装って「このままだと危険」などと不安を煽り、機器の交換契約を迫ったり、補助金が出るからと執拗に勧誘し高額契約を結ばせる手口で被害に遭っているそう。
サプリメントの定期購入は対前年度比で「157.5%」とこちらも増加。「初回500円」などのお試し広告から、意図しない定期購入を契約してしまう事例が増加しています。
不審なメールや電話、覚えのない請求からトラブルとなるケースは対前年度比で「124.1%」となっており、こちらは「料金未納のため電話が使えなくなる」というSMSや電話で個人情報を聞き出したり、架空の未納料金を請求する手口が多いのだとか。
また、特に契約会社を装った不審な電気点検をきっかけとしたブレーカー(分電盤)交換のトラブルに関する相談は、対前年度比で「2,078.3%」と激増し、被害が相次いでいることがわかります。
【相談事例】
1週間前、一人暮らしの母親宅に「分電盤の無料点検をする」と言って事業者が突然来たようだ。
「分電盤が古いのでこのままだと火災になる可能性がある。早く交換したほうがよい。」と言われて、その場で16万円の分電盤交換工事を契約したらしい。
昨日母親宅に行き、契約書を見て知った。本当に必要な工事かもわからないので、クーリング・オフをしたい。
(相談者 60歳代 女性、契約当事者80歳代 女性)
高齢者の消費者被害の未然防止・早期発見を図るため、9月に関東甲信越ブロック共同の啓発事業と、都内自治体で連携した高齢者特別相談を実施。
9月30日までの期間「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン」として、区市町村庁舎や高齢者福祉施設、医療機関・警察署・公衆浴場・ボウリング場などにポスター・リーフレットを配布し、見守りの大切さや相談窓口の周知を図る施策を行うほか、ステッカーの配布など注意喚起を行います。
9月8日〜10日まで高齢者の被害特別相談も実施!
9月8日〜10日までの3日間、関東甲信越ブロック「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン」の一環として、高齢者被害特別相談も実施。
これは高齢者の消費者被害の相談や、その家族・ホームヘルパー・ケアマネジャーからの通報や問合せなども含んでいます。
電話相談や東京都消費生活総合センターへの来所でも相談することができるほか、都内の区市町の消費者センターや相談室、消費者団体でも「高齢者被害特別相談」を実施予定となっているので、不安なことやトラブルに遭遇してしまった可能性がある場合は、相談してみてはいかがでしょうか。
・高齢者の消費者被害の相談(高齢者被害110番):03-3235-3366
・家族、ホームヘルパー、ケアマネジャー等からの通報・問合せ(高齢消費者見守りホットライン):03-3235-1334
・来所での相談:東京都消費生活総合センター(新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ16階)
・そのほか、都内の区市町及び消費者団体で「高齢者被害特別相談」を実施
※自治体によって実施日時が異なる場合あり
年々増加傾向にある高齢者の悪徳商法による被害。
都内に住む高齢者の方は一層用心し、その家族など周囲の方々は、高齢者の方がトラブルに遭わないよう見守りを強化してください。
また、トラブルに遭ってしまった際は、今回実施する高齢者被害特別相談などを活用して早急に相談するようにしましょう。
消費者注意情報:https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/sodan/kinkyu/