株式会社博報堂のシンクタンク「博報堂100年⽣活者研究所」は4⽉29⽇(⽕・祝)の昭和の⽇に合わせ、昭和100年特別企画「これまでのしあわせ これからのしあわせ展」を同研究所にて4⽉23⽇(⽔)より開催します。4月22日(火)には研究所の活動拠点である東京都豊島区巣鴨のカフェ「Sei-katsu-sha Cafe かたりば」にて、先⾏してメディア向けに、100年間の⽇本⼈の幸福度推移や価値観変化を⼀覧化した年表や、AI が予想する100年後の⽇本の未来像をまとめた映像など、企画内容の説明が行われました。
2025年は昭和が始まってから100年という節目の年です。時代が平成、令和と移り変わる中で、同研究所は⽇本⼈の幸福度や価値観がどのように変遷したのか調査を実施し、過去100年の主要な出来事とともに結果を掲載した「昭和100年幸福度年表」を制作しました。説明会当⽇では研究所所⻑の⼤⾼⾹世氏が年表内容を解説。また、AI が予想する100年後の⽇本社会や、1920〜45年⽣まれの⽇本⼈⼥性を撮り続けてきた写真家のエドワード・ホール氏の撮り下ろし作品も紹介されました。
“しあわせ長者”を目指す「100年人生ゲーム」など、これまでの成果
「博報堂100年⽣活者研究所」は⼈⽣100年時代における幸福をテーマに、さまざまな調査・研究を⾏って結果をホームページで発信しています。これまでの主な成果の一つに、産業界との共創プロジェクト第一弾の「100年人生ゲーム」があり、株式会社タカラトミーと共同開発し、2024年11月に発売され、人気商品のため現在は品切れとなっています。

「100年人生ゲーム」で目指すのは億万長者ではなく「しあわせ長者」。100年人生のポジティブな面に気づくために、1万人以上から集めた幸福体験談をプレイする仲間とともに、生まれたばかりの頃から100歳までを疑似体験する人生ゲームとなっています。
メディアとの共創プロジェクト第一弾としては、カンテレの特番企画「笑ライフ」にて人生100年時代のウェルビーイングを啓発する取り組みが行われました。アカデミアとの共創プロジェクト第一弾は、東京大学にて「人生100年時代のウェルビーイングマーケティング講義」が実施されました。これからの人生を考える岐路に立つ学生と、ウェルビーイングな人生と新しい時代のマーケティングが共有される機会となりました。

「昭和100年幸福度年表」で見えてくる日本人の幸福度

昭和100年特別企画については、大高香世氏が解説しました。一つ目の特別企画「昭和100年幸福度年表」は、20~80代の男女2,800名を対象に、過去100年間の幸福度や価値観への評価についての調査を実施し、その結果をもとに年表が作られました。

調査の結果、日本人の幸福度(推定・10点満点)は1950年代から上昇傾向にあったものの、バブル景気の80年代をピークに現在まで低下傾向で、今後も同様の傾向が続く、と考えられていることがわかりました。さらに、日本人の価値観についての評価では、2000年代までは主に「家族とのつながり」「仕事」「経済的な安定」の三つを重視されていましたが、2020年代からは変化し、主に「多様性」「自分らしさ」「柔軟な働き方」を重視するようになったと考えられていることがわかったそうです。
2020年代の幸福度は5.23でピークとなる1980年代の6.2からは約1ポイント下落しています。年表には未来の予想も載っていて、2030年代は幸福度が5.09、2040年代は5.02と右肩下がりとなっています。
これからの100年の間に宇宙旅行の一般化やAIとの恋愛&結婚が実現か?

二つ目の特別企画は、生成AIイラストをもとにした100年後の⽇本社会の映像です。こちらの映像について、⼤⾼氏は「生成AI技術を活用して、昭和100年間とこれからの100年間、それぞれ100秒ずつ、計200秒の動画にまとめました。この映像はあくまでも予測ではなく、私たちが読み解いた仮説です。こんな未来になっているのではないかという期待も込めて、事実も交えながら構成した映像です」と紹介しました。
映像の制作過程については「しあわせの神様である七福神を軸に、働き方、お金、娯楽、生きがい、ファッション、人間関係、健康という7つのジャンルにおいて、これまでの100年から10年ごとにトピックスをAIで抽出。これからの100年は、平方数(4年後、9年後、16年後など)の単位で、起こり得る出来事をAIにリストアップしてもらい、『これまで』と合わせて40シーンを選択しました」と解説しました。

実際に映像を見てみると、1926年12月からスタートし、終戦や新幹線開通といった歴史的出来事のイラストが続き、スマートフォンが日常生活に登場する時代へ。「これからの100年」に入ると、宇宙旅行の一般化、ロボットとの共存、AIとの恋愛や結婚といった未来の内容が描かれていました。
70歳を超えた方々の生きざまを紹介

三つ目の特別企画「100Wコラボ企画 生きざまポートレート」は、「Sei-katsu-sha Cafe かたりば」の常連客のポートレートを写真家のエドワード・ホール氏が撮り下ろしたものとなっている。
この企画について⼤⾼氏は「70歳を超えても日々ワクワクしながら過ごす常連さん。本当に毎週通われたり、ほぼ毎日来る方もいらっしゃいますが、皆さん楽しんでここに来ておしゃべりをしてくださるなか、その生き生きとしている様子を撮っていただきたいと思い、お二人にご参加いただき、インタビューを重ねてその方の生き様というものも文章としてご紹介しています」と紹介しました。
「100Wプロジェクト」とは、ホール氏が行っている、昭和の激動の時代を生き抜いた女性たちを撮影し続けているプロジェクトです。撮影対象となっている多くの方が70代、80代の方だそうです。

三つの特別企画の紹介後には、⼤⾼氏と副所長の田中卓氏による対談も行われ、「昭和100年の振り返りが、100年生活のしあわせに与える影響とは?」や「しあわせに対してAIが与える影響とは?」といったテーマが語られ合いました。
「人生100年時代の幸福」を探求する同研究所ですが、過去の100年も未来の100年も普段はあまり考える機会がないので、いろいろと考えるきっかけとなりました。今回の特別企画などに興味がある方は巣鴨の「Sei-katsu-sha Cafe かたりば」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
「博報堂100年⽣活者研究所」公式サイト:https://hakuhodo-rdc.com/100years_lab/