
『下剋上球児』『ひだまりが聴こえる』、そして『あんぱん』の柳井千尋役で大躍進を遂げた俳優の中沢元紀が、ファースト写真集『ルート』を発売した。自身の軌跡も辿る渾身の一冊について本人に話を聞いた。

――2024年5月~2025年7月まで中沢さんの四季を追った一冊は見応えある カットばかりですが、お気に入りのカットはどちらでしょうか。
本当に選べなくて(笑)。お気に入りの写真はたくさんあるのですが、その中でも冬のカットが好きですかね。駅で待っているところなのですが、雪も降ってきて雪の粒も写真に写っていますし、その一枚だけでもストーリーが思い浮かぶような感じになっているので、それが一番好きです。

――瀬浪歌央さん、多田悟さん、本多晃子さん、宮脇進さんという4人のカメラマンによる作品がたくさん収録されていますが、終えてみていかがでしたか。
光りの加減で冬の撮影などは映画っぽく撮っていただいたり、あまりカメラを意識せずに撮ったことも多くて、だからこそ僕も気張らずに自然体でいられたのかなと思います。本人としてカメラの前に立つこともそれほど意識しなかったというか、終始自然体で過ごせたと思います。

――“ルート”というタイトルにあるように、格別の想いがあるロケ地にも行かれたそうですね。
茨城県出身なのですが、地元に帰って撮った写真もあります。僕が小学生の頃に住んでいた場所を回らせていただいて、よく行っていた公園、家族で行っていたパン屋さんにも行かせてもらい、懐かしさも感じながらの撮影でした。「この道、こんなに狭かったっけ?」って、小さい頃の記憶のままの場所に今の自分が行ってみて、成長しているなという気持ちにもなりましたし、とてもエモいとうか(笑)。
――内容や構成についてアイデアを出したりしましたか。
マネージャーさんやスタッフさんたちと話し合いながら決めました。地元でよく行っていたお店のパン屋さんや公園は僕が挙げたり、場所に関してはいろいろと話し合いながらですね。ヘアメイクや衣装はお任せしていました。ずっと一緒にやってくださっているので分かってくださっている方々ですし、空気感やその時期にあったものを選んでいただきました。

――今回の写真集を撮影されていた今年は、連続テレビ小説「あんぱん」で柳井嵩の弟・千尋役が話題でしたよね。
本当に大きな出会いでした。この先いろいろな作品をやっていったとしても、10年後、役者人生を振り返った時に絶対色濃く残っている役、そして作品になったと思います。撮影期間も長かったですし、役者としての考え方も、共演者のみなさんとのお話やお芝居を見ながら得るものが多かった現場でもあるので、千尋との出会いは大きかったと思います。
――成長の一年だったかと思いますが、反対に変わらないでいようと思うことはありますか。
それもありあすね。役者としてもそうですが、ひとりの人間として、この人と仕事をしたら気持ちがいいな、この人ともう1回お仕事をしたいなとか、思ってもらえる人でありたいです。ひとつの作品を作ることって本当に大変なことですし、いろいろな方が関わってるものでもあるので、この人とだったらいい作品を作りたいと思っていただけるような、手前の部分、人間力の部分も変わらず大事にしていきたいなと思っています。
ヘアメイク:速水昭仁
スタイリスト:田中トモコ
衣装協力:CULLNI、ロックポート
■書誌情報
中沢元紀 ファースト写真集『ルート』
2025年10月1日発売
撮影(五十音順):瀬浪歌央、多田悟、本多晃子、宮脇進
価格:3,740円(税込)
仕様:B5判・4色+1色・全168ページ
ISBN:978-4-8470-8632-8
