近年、アイドルやキャラクターを応援するだけでなく、自分が夢中になれる趣味を楽しむ“推し活”が広がっています。
そんな中、長崎県諫早市にある「curinomi」のお菓子教室では、2026年上半期の60代以上の参加者が前年の約2倍に増加。
今回は、株式会社クリタカトータルコマース 小売流通部 curinomi チーフの大石愛海さんに、シニア世代がお菓子作りに夢中になる理由や、教室で生まれている新たな交流についてお話を伺いました。
自宅でも再現しやすいお菓子作りを学べる「curinomi」
長崎県諫早市にある「curinomi」は、製菓・製パン材料の販売、EC事業などを展開する株式会社クリタカトータルコマースが運営するお菓子教室。

製菓・製パン材料を販売する店舗内に併設されたキッチンで開催されています。

コンセプトは「お家でも誰でも、一人でも作れる、おいしいお菓子作り」となっており、4~6人ほどの少人数制で、月ごとにメニューを設定した単発レッスンを実施。
参加者は基本的に30~40代が中心で、お菓子作りを趣味として楽しんでいる方だけでなく、初心者の方の参加も多いそうです。
メニューを考える際に大切にしているのが、教室で習ったことを自宅でも実践しやすいこと。
季節に合わせたお菓子を取り入れながらも、特別な材料や機材をそろえなければ作れないものではなく、自宅で再現しやすいメニューを基本としているといいます。
また、限られたレッスン時間の中でも無理なく完成できるよう、工程を工夫している点も特徴。
初めてハンドミキサーを使う参加者には道具の使い方から教えるなど、経験の有無を問わず参加しやすい環境づくりを心掛けているそう。
こうした「自分でも作れそう」と感じられるレッスンが、幅広い世代がお菓子作りへ一歩踏み出すきっかけになっているようです。
60代以上の参加者が前年比2倍に!背景には「自分の時間」の充実
「curinomi」のお菓子教室では、2026年上半期における60代以上の参加者数が、前年の約2倍に増加しました。
大石さんは、

「2025年あたりから特に増えたなと思います。こちらの店舗は移転してから5年目になるのですが、道案内のお問い合わせがすごく多かった年のように感じていますね。」
と振り返ります。
これまで参加者は30~40代の主婦層が中心でしたが、近年は50代以上の女性の姿も多く見られるようになったそう。

シニア世代の参加が増えている背景について大石さんは、定年退職などをきっかけに「自分のために使える時間」が増えたことが一つの理由ではないかと分析しています。
時間をただ過ごすのではなく、何かを作ったり、新しいことを学んだりすることで日々を充実させたいという思いが、お菓子教室への参加につながっているのだろうと推察する大石さん。
さらに、教室に通うモチベーションになっているのが「誰かに喜んでもらいたい」という気持ち。

「教室で実際に感じるのは『誰かに喜んでもらう』ことをモチベーションにしていることかなと思います。家族や友人にこれを作ってあげたい、おいしいと言ってもらいたい、という思いが教室に通うきっかけになっている方もいらっしゃいますね。」
また、健康への関心から、使用する材料を自分で選べることに魅力を感じる参加者もいるとのこと。
自分自身の楽しみに加え、大切な人のために作る喜びも、シニア世代がお菓子作りに惹かれる理由となっているようです。
お菓子作りそのものがシニア世代の“推し活”に
シニア世代の参加が増える中、大石さんが特に驚いているのが、お菓子教室を心待ちにする参加者の“熱量”です。
「curinomi」のお菓子教室は、大石さんが一人で運営しているため、一度に参加できる人数には限りがあるそう。

毎月開催日時を決めて予約を受け付けていますが、今ではすぐに満席になることも多いのだとか。
中には、予約を取るために受付開始前からスマートフォンを手元に置いて待っている参加者も。
大石さんは、こうした様子から、お菓子作りが単なる習い事を超え、毎月楽しみにする存在になっていることを感じるといいます。
大石さんは、参加者の様子について次のように語りました。

「(参加者は)家族やご近所の方に振る舞う方が多く、喜んでもらえたら嬉しいですし、『以前より自信を持って作れるようになった』『次はこんなお菓子にチャレンジしたい』といった新しい目標を聞くこともあります。教室に通うことを楽しみにして、作ったものを誰かに贈り、さらに次の目標につなげていく。この一連の動きが、まさにお菓子作りを“推し活”と呼べるほどの熱中ぶりではないかと感じています。」
また、教室で実施したアンケートでも「推し活」は人を応援することだけではなく、自分自身が楽しみながら没頭できる趣味も含まれると考える方が多かったとのこと。
好きなお菓子を作り、誰かに喜んでもらい、次に作りたいものを見つける。

そんな楽しみの積み重ねが、シニア世代にとって新しい“推し活”の形になっているようです。
お菓子作りを通じて生まれる新たなつながり
「curinomi」は、お菓子作りの技術を学ぶだけでなく、参加者同士の新たな交流が生まれる場にもなっています。

教室では一つの作業台を複数人で囲むため、初対面でも自然と会話が始まることがあるそう。
レッスンで何度か顔を合わせるうちに交流が深まり、後日「私たち、お友達になりました!」と大石さんへ報告した参加者もいたといいます。
また、年代を問わず同じお菓子を作るという共通の目的があることで、普段の生活では接点が少ない世代同士でも交流しやすいのも特徴。
シニア世代の参加者がこれまでの料理やお菓子作りの経験を生かし、ほかの参加者へ作り方のコツを伝える場面もあるなど、お菓子をきっかけに世代を超えたコミュニケーションが広がっています。
今後について大石さんは、

「curinomiは世代を問わず、小さな『やってみたい』を応援できる教室でありたいです。シニア世代だから特別なことをするのではなく、何歳になっても好きなことを楽しんだり、新しいことに挑戦したりするきっかけを提供できるような地域のお菓子教室を目指していきたいと思っています。」
さらに、これから新しいことを始めたい方に向けて、大石さんは「『もうこの年齢だから』と諦めず、少しでもやってみたいと思ったことへ一歩踏み出してほしい」とメッセージを送りました。
お菓子作りを楽しむことから、人との出会いや新しい目標へ。
諫早市で愛されているお菓子教室から、年齢にとらわれず夢中になれるものを見つける、新たな“推し活”の輪がこれから広がっていきそうです。
kurinomi:https://www.kurinomi.shop/
公式Instagram:https://www.instagram.com/shop_kurinomi/
