近年、都市部での渋滞回避やレジャー志向の高まりとともに、再び注目を集めているのが二輪車だ。コロナ禍を契機にその販売台数は右肩上がりとなり、かつてバイクを手放していた“リターンライダー”の姿もよく見かけるようになった。だがその一方で、交通事故における二輪車の構成比も依然として高いままだ。公道という“共通空間”において、二輪ライダーが安全かつ快適に楽しめる社会の実現は、今や喫緊の課題とも言える。
そんな現実に真正面から向き合い、2024年に誕生したのが「マッスルバイク ファーム」だ。指導歴のある人気バイク系YouTuber・ゆっち先生こと酒井佑弥氏が立ち上げたこの施設は、初心者からベテランまで、幅広いライダー層を対象にした“低速技術”専門のトレーニングフィールド。千葉市緑区の約2000㎡の敷地で、実技だけでなく“意識”を鍛える新たな学びの場として注目を集めている。2025年4月26日には、満を持してのグランドオープンを迎える。
速さよりも“確かさ”を磨く、新時代のバイク練習場

「マッスルバイク ファーム」は、従来の“速さ”を追求するライディングスクールとは一線を画し、二輪車に必要な「低速での安定走行」と「安全な判断力」の習得に重点を置いたトレーニング施設である。特に注目すべきは、ただ走る技術を磨く場ではなく、ライダーとしての意識や知識までを総合的に養える“複合型学びの場”として設計されている点だ。
設立者であり、人気バイク系YouTuber「マッスルバイクちゃんねる」で知られる元教習指導員・ゆっち先生(酒井佑弥氏)は、教習所ではカバーしきれない“リアルな公道”で求められる技術の重要性を繰り返し発信してきた。その実体験とユーザーからの声をもとに、自身が代表を務める「一般社団法人二輪車安全指導協会(MSCA)」を通じて、この施設を立ち上げたのである。

施設は千葉市緑区に位置し、敷地面積は約2,000㎡。この広さを活かし、初心者や運転ブランクのあるリターンライダーでも安心して練習できる設計となっている。特に低速での取り回しや、狭路・クランクといった状況下での挙動を再現したエリアは、実際の市街地走行に即したトレーニングが可能だ。
また、来場者の年齢層は50代を中心に、40~60代のライダーが多く、運転歴1年未満の初心者から、20年以上のベテランまでが利用しているという。つまり、この施設は“誰もが学び直せる場所”として、年齢や経験に関係なく、安全意識をアップデートできる機会を提供しているのだ。
公道に出る前の“もう一歩手前”の練習場所がないという課題を埋める存在として、「マッスルバイク ファーム」はまさに、二輪トレーニングにおける新たな常識を提案する拠点となっている。
所在地:千葉県千葉市緑区平山町678
営業時間:10:00~17:00(朝活 8:00~10:00/夕活 17:00~19:00 ※完全予約制)
敷地面積:約2,000㎡
公式WEBサイト:https://mb-farm.com/
マッスルバイクちゃんねる:
https://www.youtube.com/channel/UCwSVWMtBTELIPh7JpgywK9Q
教習所では学べない、“リアル”が詰まったカリキュラム

プレオープン期間中、実際に施設を訪れた利用者から多く寄せられたのが「一から教えてほしい」「実践的な指導を受けたい」といった声であった。これに応えるかたちで、「マッスルバイク ファーム」はグランドオープンにあわせて新たにレッスンプログラムを導入した。
このレッスンの大きな特徴は、教習所とは異なる“公道走行に本当に必要な技術”を重点的に扱っている点にある。信号待ちの停車、右左折時の減速と確認、狭い住宅街でのすり抜け判断など、ライダーが日々直面するシーンに対応する実用的なカリキュラムが組まれている。単に技術を詰め込むのではなく、状況判断力と操作の柔軟性を高める実践型の内容となっている。

レッスン対象者も幅広く設定されており、免許を取ったばかりの初心者はもちろん、ブランクのあるリターンライダー、さらには自己流で運転してきた中・上級者までもが受講できる構成となっている。講師には経験豊富な指導員が揃い、参加者一人ひとりのレベルや課題に応じた個別アドバイスが可能だ。

とくに注目されているのが、低速バランスの強化を図る「一本橋」のトレーニングや、市街地での急な障害物回避を想定したブレーキング練習である。これらは交通事故防止に直結するスキルであり、従来の練習環境ではなかなか体得しづらい内容でもある。
施設の公式サイトでは、グランドオープン前日の4月25日より詳細なレッスン情報が公開される予定となっており、早くも予約や問い合わせが増えているという。利用者の不安や課題を出発点とし、実用性にこだわり抜いて開発されたこのプログラムは、安全と安心を両立したライダー育成の新しいモデルケースとなるだろう。
バイカーの心もお腹も満たす「マッスルキッチン」

「走る」ことに特化した施設でありながら、「食べる」ことへのこだわりを併設しているのが、「マッスルバイク ファーム」のユニークな点である。グランドオープンにあわせて登場する「マッスルキッチン」は、バイク乗りの空腹と好奇心を満たすキッチンカー型の飲食スペースとして、新たなツーリングの立ち寄りスポットを目指している。
中でも看板メニューの「マッスルラーメン」は、東京・築地の老舗中華店「やよい麺」による全面監修のもと開発された一杯だ。信州・野沢菜と豚肉をベースにしたスープに、特製の極太ちぢれ麺を合わせたこのラーメンは、まさに“パンチの効いた一品”。豊かなコクと個性的な食感がクセになる味わいであり、単なる施設の軽食にとどまらない完成度を誇る。

また、ラーメンのカレーアレンジ版とも言える「スペシャルカレー」も提供されている。具材は野沢菜と豚肉、そしてライスには甘みと粘りのある山形県産つや姫の無洗米を使用。ピリ辛の具と、噛むほどに甘みが引き立つご飯のバランスが絶妙で、食べごたえにも満足感がある。

ドリンクメニューにも強いこだわりが見られる。提供される「マッスルコーヒー」は、日本では珍しいメキシコ産の豆を用いたブレンドで、長野県・軽井沢で営業していた「CR.CACTUS」の協力により実現したもの。酸味を抑えたマイルドな味わいで、ホットはもちろん、トレンドの水出しアイスコーヒー(コールドブリュー)も楽しめる。
そのほかにも、ピラフやチャーハンといった軽食メニューが揃っており、施設利用者だけでなく、ツーリング途中の休憩所としても活用できる仕様となっている。「食」から生まれるコミュニティの場としても、このキッチンカーは大きな役割を果たすことになるだろう。
<メニュー>
マッスルラーメン ¥1,100(税込)
マッスルラーメン(汁なし) ¥1,050(税込)
スペシャルカレー ¥1,200(税込)
マッスルコーヒー ¥450(税込)
バイク好き、集合!100名限定のスペシャルイベント開催

「マッスルバイク ファーム」のグランドオープンを記念し、2025年4月26日(土)には、二輪ファンには見逃せないスペシャルイベントが開催される。定員は先着100名。トレーニング施設の新時代を祝うこの1日限りの催しには、注目のバイク系YouTuberたちが一堂に会する。
イベントの目玉コンテンツのひとつは、「トリプルコラボ トークショー」である。「Apollogic(アポロCh.)」「おりきちゃんねる」、そして施設の発起人である「マッスルバイクちゃんねる」から、それぞれの人気配信者が登場。YouTube上で多くのフォロワーを持つ彼らが、リアルな場で視聴者と交流できる貴重な機会となっている。
また、写真撮影やサイン会も予定されており、ファンにとっては至福の時間となるだろう。

さらに、来場者参加型のアクティビティも充実している。運転技術を試す「一本橋チャレンジ対決」や、景品が当たるジャンケン大会などが予定されており、単なる観覧型イベントではなく“参加する楽しさ”が用意されている点が特徴だ。
参加者全員には、特製クーポンが付いた「なめ筋免許証」がプレゼントされる。記念としてだけでなく、施設利用の際の特典としても活用できるユニークなアイテムである。
なお、当日の天候によっては、翌日27日(日)に延期、連日雨天の場合は中止となる可能性もある。会場には四輪の駐車スペースがないため、バイクまたは公共交通機関を利用する必要があるが、それを差し引いても本イベントはライダーにとって極めて価値の高い体験となるはずだ。
<グランドオープン記念イベント概要>
開催日時:4月26日(土)11:00~13:00
定員:100名 ※定員に達し次第、応募終了
参加費:お一人様5,000円(税込)
教習所では届かない“その先”を補完する拠点

「マッスルバイク ファーム」が構想された背景には、二輪車を取り巻く社会的な変化と、安全性に対する課題意識がある。コロナ禍を機に通勤・通学やレジャー手段としてバイクの利用が再評価され、国内の二輪車販売台数は再び増加傾向に転じた。2021年度以降、年間40万台超の水準を維持しており、若年層の免許取得者やリターンライダーといった新旧ユーザーが市場を押し上げている。


しかし一方で、交通事故における二輪車の死亡率は依然として高く、特に都市部ではその割合が顕著である。警視庁の調査によると、2024年に東京都内で発生した交通事故死者のうち、二輪車に乗車中だったケースは全体の26.0%にものぼる。防護性能の向上が進んでいるとはいえ、ライダーの身体がむき出しである以上、安全性は“技術”と“意識”に大きく左右されるのが現実だ。
こうした現状を受け、元教習指導員であり人気バイク系YouTuberでもある「ゆっち先生」こと酒井佑弥氏は、「安全なモビリティ社会の実現には、ライダー自らが安全意識を高める場が必要だ」と考えた。そして2024年6月、一般社団法人二輪車安全指導協会(MSCA)を設立し、同年10月には千葉市に約2,000㎡の敷地を有する専用トレーニング施設「マッスルバイク ファーム」をプレオープンさせたのである。
この施設が重視しているのは、いわゆる“速さ”ではない。むしろ一般公道や市街地でこそ求められる「低速での操作技術」や「状況判断能力」に焦点を当てている。初心者からベテランまで、あらゆるライダーが自らの運転を“再点検”できる場として、施設は今後も進化を続けていく構えだ。
安全で楽しいモビリティ社会は、ここから始まる
二輪車に乗ることは、単なる移動手段を超えて、風を感じ、心を解き放つ特別な体験である。しかし、その自由さの裏には、事故と隣り合わせという現実もある。操作における判断ミスが命に直結するという緊張感の中で、安全に走るための技術と意識は、すべてのライダーに求められる最低限の装備と言っていい。
「マッスルバイク ファーム」は、その装備を、誰もが気軽に、そして実践的に身につけられる場である。免許を取ったばかりの若者も、ブランクのある中高年も、そして数十年の経験を積んだベテランも、自らの運転と改めて向き合える場所がここにある。学び直しの重要性を伝えるこの施設の存在は、単なるトレーニング場ではなく、“新しい二輪文化”の起点となる可能性を秘めている。
そして、そこに集うのは単なる受講者ではない。共通の価値観と志を持つ“仲間”たちである。ともに技術を磨き、ともに語り合い、ときにラーメンをすすりながら、バイクと向き合う時間を共有する。その積み重ねが、より良い交通社会の礎になるはずだ。
「走ること」を楽しみながら、「守るべきもの」も知る。そんなライダーを一人でも多く育てるために、「マッスルバイク ファーム」はこれからも走り続けていくだろう。