國學院大學人間開発学部が主催する親子向けイベント「第16回 共育フェスティバル ~つながる心、ひろがる笑顔~」が、10月26日に横浜市青葉区の同大・たまプラーザキャンパスで開催された。本イベントは、学生が普段の学びを活かして考案したさまざまな企画を地域住民と共に楽しむ「遊びと学びの祭典」だ。学びの場であるキャンパスが“一日限定のテーマパーク”と化したこの日。ここでは約800人の来場者があった会場の様子をレポートしていこう。
人間開発学部が行う、年に一度の「遊びと学びの祭典」
「初等教育学科」「健康体育学科」「子ども支援学科」という3つの学科からなり、地域とのつながりを重視している國學院大學人間開発学部。卒業生の約半数が教員として巣立っていく同学部のキャンパスには、「理科室」「書道室」「図工室」「調理実習室」など小中学校の校内を模した教室があり、この日はそれらが外部に開放され、学生と地域の人が共に学び合う多彩な体験コンテンツが実施された。

16度目の開催となった今年のテーマは「つながる心、ひろがる笑顔」。当日は早朝から小雨が降る空模様だったが、それでも入場口では午前10時の開場前から多くの親子が行列を作り、学生企画委員として4月から全体の企画に携わってきた西山諒英さん(初等教育学科3年)は「きっと他にもやりたいことが多い日曜日の午前に、こうした天気の中でもこれだけ多くの方々に集まっていただけたのは本当に嬉しいです」と無事開幕を迎えられた感慨を語ってくれた。
人間開発学部の学びが反映された、16の体験コンテンツ
館内では、ゼミや学内団体等の学生たちが企画した16種の体験コンテンツが展開され、我々はその中から西山さんイチオシの3つのコーナーを見学することに。
「蜜ろうキャンドル」は、本キャンパスの屋上でミツバチを育てている「万葉エコBeeプロジェクト」が企画したオリジナルキャンドル作り体験のコーナーだ。

ニホンミツバチは半径2キロ程度を行動範囲とする生き物。そのため「ミツバチがハチミツを取るお花を地域の方々が植えてくださるからこそ私たちが活動できている」と担当学生は言い、本キャンパスと地域とのつながりを象徴する存在になっている。
この体験でメインの材料となる蜜ろうとは、ハチミツを食べたミツバチが巣に分泌する蝋のことで、スキンケア用品や化粧品の素材などに使われるものだ。キャンドルの作り方は、蜜ろう6グラムと米油2グラムを混ぜて湯煎したものを好みの形に固めていくというシンプルな手順。ただし、IHコンロを使うため、親子の共同作業が欠かせない。

パパママに協力してもらいながら冷めた蜜ろうを手を使って好きな形にこねていく子どもたち。完成したキャンドルを見せてもらうと、星、ハート、洋なし、ネズミなどどれも力作揃いで、早くも達成感にあふれる子どもたちの笑顔を見ることができた。

“割れないシャボン玉”に、親世代に懐かしい玩具作りも
次に訪れた「宇宙キッズのトリプルファンタジー」は宇宙に関する子ども向け学習イベントなどを行っている「たまプラーザLaboratory」というサークルが企画したコーナーで、ロケットや惑星のイラストがところどころに散りばめられたワクワク感ある空間にも工夫を感じる。

ここでは3つの遊びが用意され、その中で特に気になったのが「割れないシャボン玉」という遊び。シャボン玉が割れないわけがない……と訝しみながら学生に見本を見せてもらうと、なんと確かにタオルの上をポンポンとバウンドするシャボン玉が!

実は割れない秘密は、シャボン液を作る食器用洗剤にあり、界面活性剤の成分が多い洗剤を使うことで膜が厚く、簡単に割れにくいシャボン玉が作れるという。
一方で「スーパーボール作り」は、昭和世代のパパなら懐かしさを感じずにいられない、あのスーパーボールを手作りする体験だ。

こちらはコップの中に洗濯のりと「魔法のみず」こと食塩水を注いで割り箸でぐるぐるとかき混ぜていくと、箸の周りにブヨブヨとした固形のものが。それを布に包んで丸めていくと、少しずつスーパーボールになっていく。
丸く綺麗に固めていく作業は、これもまた昭和世代がかつて砂場等で腕を磨いた泥団子作りを思い出させ、小さな惑星みたいな球体作りは、子どもより大人が熱中しそうな体験だった。

続いて見学した「まわして・たたいて! 楽しい工作遊び」は、子ども支援学科の学生たちの企画で、画用紙や厚紙を使って、動物カスタネットとぶんぶんごまを作る体験だ。

動物カスタネットは、半分に折った紙の両側にペットボトルのフタを貼り、叩き合わせることで音が鳴る仕組み。4色の紙が用意され、色や模様の違いで世界に一つしかないオリジナルおもちゃの完成に、こちらも喜びの笑顔がたくさん見られた。

人間開発学部と地域のつながりを肌で感じた一日
そのほか、巨大なシャボン玉に全身が包まれる体験や歌と踊りを交えた絵本の読み語り、手話と点字を使ったお買い物体験など、それぞれの個性が光った企画はどこも盛況。子どもたちを笑顔にしたいという学生たちの思いがふれあいや空間作りの随所から感じ、西山さんも「ただ一方的に子どもたちに教えるのではなく、大人と子どもが一緒に楽しめる企画を意識してきた中で、学生側にも充実感に満ちた笑顔がたくさん見られ、僕たちにとっても貴重な学びの機会になりました。ここでの遊びから子どもたちが何らかの成功体験を得て、学びへの興味に繋げてくれたら嬉しいです」と大きな手応えを感じていた。


キャンパスが一日限りのテーマパークになった共育フェスティバル。これだけ遊べて、学べて、手作りのお土産も持ち帰れて参加費無料という太っ腹さもさることながら、教育分野に携わる人材を多数輩出する機関として、身近にある地域とのつながりを大切にする國學院大學人間開発学部の姿勢を肌で感じることができた一日だった。
