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こども家庭庁の職員とこども・若者支援の成長企業が意見交換を図る初の試み「こども若者まんなかダイアローグwithスタートアップ」開催

こども家庭庁の幹部・職員と、こども・若者支援の最前線で挑戦するスタートアップ企業の課題共有と意見交換を目的とした「こども若者まんなかダイアローグwithスタートアップ」が4月27日に初開催された。東京・霞が関の同庁大会議
リアルプレス 2026年5月2日

こども家庭庁の幹部・職員と、こども・若者支援の最前線で挑戦するスタートアップ企業の課題共有と意見交換を目的とした「こども若者まんなかダイアローグwithスタートアップ」が4月27日に初開催された。東京・霞が関の同庁大会議室を会場に行われたイベントには、「こどもまんなか応援サポーター」に参画するスタートアップ企業20社が参加。ダイアローグ(対話)のタイトル通り、両者のセッション形式で、それぞれの立場から実りある意見が交わされた。

「こどもまんなか社会」の実現に向けて行政と民間企業が対話

こども家庭庁主催の本イベントは、同庁が基本理念とする「こどもまんなか社会(すべてのこどもや若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会)」の実現に向け、こどもや若者と密接に関連する民間企業との連携を深める取り組みの一環。

参加企業は、株式会社AiCAN、株式会社iida、株式会社CATENAS(るりあるく)、XTalent株式会社、株式会社クロスメディスン、JTOS(鉄道横断型社会実装コンソーシアム)/小田急電鉄株式会社、株式会社Josan-she’s、スリ―ル株式会社、CHEERS株式会社、株式会社地域デザインラボさいたま、DFree株式会社、Trim株式会社、ネッスー株式会社、PAPAMO株式会社、株式会社Homeport、株式会社祭、MAMAdonna株式会社、ユニファ株式会社、ライフイズテック株式会社、ReGASY Innovation Group株式会社の20社。そのほか、総務省の地域力創造グループ地域政策課のほか、金融機関4社もオブザーバーとして参加した。

冒頭では、こども政策担当の内閣府大臣政務官である古川直季氏が挨拶。これまでも民間企業の協力を得ながら子育て支援の充実と環境整備を進めてきたこども家庭庁の取り組みを紹介した上で、「こどもまんなか社会を実現するためには国や地方自治体のみならず、皆さまのような民間企業等との連携を一層強化していくことが極めて重要」とし、「企業のこどもまんなかの取り組みへの支援を通じて、社会的価値の創出とともに企業価値の向上にもつながる好循環を作っていきます」と語った。

続いて登壇した、こども家庭庁の湯山壮一郎長官官房参事官は、同庁が企業のこどもまんなか社会の取り組みを後押しする「こどもとともに成長する企業構想(CCB)」の現状について説明した。

その中で子育て支援に積極的な起業は利益成長率が高く、離職率が低いという統計結果を紹介した同氏は、「このようにこどもまんなかを推進していただくことは、企業価値の向上や成長にも重要な要素になると考えています」と強調。また、「こどもまんなか社会の実現にはアントレプレナーシップ(起業家精神)が必要」との持論も展開し、「SNSやAIの普及で情報の錯綜が進み、地域や家族とこどもとの関係が昔とは大きく変化している中、子育てをめぐる新しい課題に対応していくためには、新しい課題に対して新しい方法で挑んでいくチャレンジが重要になる」と、その意義を説明した。

行政が抱える課題に対し、若手経営者から鋭い意見続々

その後のセッションは、スタートアップ各社の事業紹介を3ラウンドに分けて挟みつつ、こども家庭庁の職員3名が同庁の現状における課題を発表し、それに対して参加者が意見や要望を述べる形で進行した。

一人目に登壇した成育局母子保健課の田中彰子課長は、自身のチームが現在取り組む企業へのプレコンセプションケア導入を課題にあげた。プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を見据えて女性とパートナーが取り組む健康づくりのこと。不妊治療や育休取得には理解が進んできた日本企業だが、プレコンセプションケアへの理解はまだ十分とはいえないのが現状だという。

その上で同氏は、「プレコンセプションケアを妊娠・出産に関わる当事者だけでなく、みんなで取り組む課題にすべき」と提案。「全世代に理解を広げていけば、より働きやすい環境を作る機運を醸成できる」と説いた。

この課題には、助産師の資格を持つ経営者から「現在は産後ケアに特化した事業をしているが、プレコンの重要性も日々感じていた。何か一緒に入り口が作れたら」という共感の意見が。

一方で、ライフキャリア教育事業を展開する経営者からは、「国のプレコンに関する政策は素晴らしいが、それが地方行政に下りる過程で、結婚や出産にだけ光が当たり、リプロダクティブライツ(自らの意思で決定し、健康管理できる権利)が抜け落ちて伝わってしまうことある。そのズレを無くすことも重要」という指摘もあった。

一方、二人目に登壇した成育局成育環境課の安里賀奈子課長は、地域における中高生の居場所作りを課題にあげ、「従来の児童館の機能を発展させる方法もあるが、それでこどもが集まるのか。行政だけで、その年代のこどもに響くものを作るのは難しい」と述べ、参加者にアイデアを求めた。

この課題には、片付けを起点に家庭内の対話や子育て支援を行う企業の経営者から、「今、私たちのお客様の中に実家が空き家になっている方も多く、居場所作りと空き家問題を掛け合わせて何かできれば」という声があった。

そして三人目に登壇した支援局家庭福祉課の伊藤涼子室長は、ひとり親世帯の経済的自立における問題を課題として提示。ひとり親世帯の44.5%が貧困状態にあり、特にひとり親世帯の約9割にあたるシングルマザー世帯は約7割が年間就労収入300万円以下という非常に苦しい状況に置かれていると説明した。

また、同氏はひとり親世帯の「時間の貧困」も大きな課題だと指摘。ふたり親世帯に比べ、こどもの勉強を見てあげられる時間が顕著に少なく、それが学習習慣の定着に影響している可能性があると懸念を示した。

これに対して、共働き世帯の転職サービスを運営する経営者からは「ひとり親世帯の転職相談では、年収を下げたくないという一方で日々の仕事に疲弊しているケースが多く、解決すべき課題が非常に多いと感じる」という意見が寄せられた。また、自身もシングルマザーとして子育てをしてきた経営者からは「時間もお金もなく、誰にも相談できずに一人で抱え込んでいる母親に、国が手を差し伸べる機会を作ってほしい」とも声も上がった。

三者の発表の後には、同庁の若手職員を代表し、3名の職員が現在の担当任務や思いを発表した。参加者の中には学生時代に起業したという同年代の経営者もおり、立場は異なれど、こどもがいきいきと暮らせる社会の実現に向けて尽力する姿に、大きなシンパシーを感じる場面も見られた。

終盤は参加者をいくつかのブロックに分けて、こども家庭庁職員を交えたグループシェアの時間が設けられ、行政と民間、また参加者同士の関係構築が図られた。そして閉会時には同庁の水田功総合政策等担当審議官が挨拶。「社会価値の創造という目標に向かって相互理解を図り、これからも積極的に意見交換をへて互いを高め合いながら、こどもまんなか社会を作っていけたら」と述べ、次回以降の開催を誓い合って全体を締めた。

新たな領域に挑むスタートアップ経営者と行政の実務者が胸襟を開き、直接意見を交換した約2時間のセッション。初の試みは双方にとって有意義な場となったようだ。今後、第2弾、第3弾と開催が続き、「こどもまんなか社会」の実現に向けて行政と民間企業が手を取り合う気運が、さらに高まっていくことに期待したい。

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