今や当たり前の文化になりつつある“推し活”。推し活人口は年々増加しており、活動する世代は若者だけでなくシニア層にも広がっているようだ。
カレンダーシェアアプリ「TimeTree(タイムツリー)」を運営する株式会社TimeTreeと、推し活専門オンラインストアを運営する株式会社Oshicocoは、2025年9月8日(月)に「2025年最新推し活トレンドに関するメディア説明会」をオンライン配信にて実施。同社らが実施したアンケート調査や、TimeTreeに登録された推し活に関連する予定データを元に、推し活市場のトレンドや実態を紐解いていった。
最新の推し活市場の状況
初めに株式会社Oshicoco 代表取締役 多田 夏帆氏より、同社と株式会社CDGが2025年1月に行った推し活実態調査の結果から、最新の推し活市場の現況を説明した。
推し活人口は約1,400万人と年々増加!市場規模は約3兆5千億円に
推し活人口は現在約1,400万人で、2024年から2025年の1年で約250万人増加。特に30代前半の女性の増加が顕著だった。
推し活に使うお金は年間で平均25万円。市場規模を算出すると約3兆5千億円という結果だ。これは日本のアルコール市場規模と同等であり、推し活の浸透を物語っている。また、推し活費の世代による差はあまりなく、多田氏は「若年層が今後成長し、所得が増えることでさらに市場規模も高まっていくのではないか」と予想した。
推し活の“何にお金をかけているか”を見てみると「グッズ」「チケット」「遠征代」の割合が多い。推しに会いに行くため、スポーツチームの応援に行くための交通費を「遠征代」とすることや、推しカラーやおしゃれのための「ネイル」も、推し活費に含まれるということは興味深い。
推し活する人に支持されるTimeTree
次に、株式会社TimeTreeの代表取締役社長 深川泰斗氏より、TimeTree と推し活の関係を説明した。
10年前に登場したTimeTreeは、誰かと共有するコミュニケーションツールとして開発されたカレンダーサービス。利用シーンとしては、当初は家族から始まり、恋人同士などクローズドなグループ間での情報共有だったが、近年伸長を見せているのがオンラインゲームや推し活など、趣味の仲間での利用だという。
また、2017年に開発したTimeTreeの「公開カレンダー」は、利用者の増加を受けて2024年に正式リリース。2025年にリリースした、ホーム画面に推しの予定と週替わりの画像が届く「ウィジェット機能」も好評を得ているようだ。
Oshicocoの多田氏は、「これまでの日本社会に言われてきた関係性は、血縁、地縁、社縁だったが、今の時代は“推縁”が加わった。これはビジネスにも影響も広がっている」とし、TimeTreeのサービスはそこにマッチしていると分析した。
TimeTreeが実施したアンケート&予定データ調査結果
続いて、株式会社TimeTreeが今年8月に実施したTimeTreeユーザー(60代を中心とした10代~70代の3,376名)のアンケート結果と、2020年1月~2025年8月31日までの登録予定データの出現数から分析した結果が発表された。
推し活をしている人は若年層からシニア層にも浸透!
推し活の実施率は、10代が93.4%、20代が92.2%と若年層が高く、年代が上がるごとに減少はするものの、60代でも52.3%と半数以上が推し活を実施していることがわかった。推し活は若者がするものというイメージもあるが、今やシニア世代にも推し活が広がっているようだ。
推し活はポジティブな変化をもたらす
“推し活をするようになって変化したこと”として、全世代で「生活にハリや楽しみが生まれた」の回答が多かった。若年層では「気持ちが前向きになった」「人生の目標ができた」「新しいことに挑戦できた(資格取得等)」などの回答割合が多く、シニア層は「健康に気をつけるようになった」という回答割合が多かった。外出する機会が増えるなど、日常生活を豊かにしてくれる推し活は、若年層では精神面、シニア層では健康や体力面でポジティブな影響をもたらすようだ。
“家族で推し活”は約3割
“推し活を一緒にする相手”を尋ねたところ、どの世代も「ひとりで行う」「会ったことのある知人・友人」の割合が高かった。一方で、若年層は「親・祖父母」、ミドル世代以上では「子や孫」の回答が3割前後と一定数いることがわかった。「親の代からのファンで、家族で推し活をしている」という人も多いという。
また、多田氏は同社の調査においても家族で推し活している人口は増えているといい、その背景には、コロナ過での配信プラットフォームによるアニメやアイドルのライブ映像、オーデション番組をきっかけに家族で推し活を始めた人も多いと説明した。深川氏は、「推し活の活動自体を誰かと共有することがポイント。家族で推し活をすることにより予定や情報を共有するなどコミュニケーションが増え、幸福度も上がるというのが面白い」とコメントした。
推し活のジャンルは若年層で多様化、シニア層は「スポーツ」人気
10代では、「漫画・アニメ」「インフルエンサー」や「VTuber・ボーカロイド」など、推し活のジャンルは多様化している。一方、50代以降のシニア層では「スポーツチーム・選手」が多く、ジャンルに世代の差が現れた。多田氏は、シニア層でスポーツ推しが多い理由として「スポーツ観戦に行ける時間の有無や、利用するメディアの差が結果に現れたのではないか」と分析した。
また、“推し活でしていること”を尋ねたところ、「ライブ・コンサートへの現地参加」「動画や配信の視聴」「SNSへの投稿・チェック」「関連グッズ購入・制作」は、多くの世代で高い回答結果だった。シニア層は「試合観戦・スポーツの現地参加」の回答が他の世代よりも高い割合となった。
「スポーツ観戦」全世代で上昇トレンドに
TimeTreeに登録された予定データから推し活の内容を年代・世代別に見てみると、「スポーツ観戦」は、全世代で上昇傾向が見られた。多田氏は「バレーやバスケなど、さまざまなスポーツでリーグが盛り上がっており、それらも結果に現れているのでは」と推測した。
推しの対象ランキング1位は全世代で「Snow Man」
推しの対象は10~50代で「Snow Man」。60~70代も1位は「Snow Man」で、その他にはスポーツ選手やスポーツチームがランクイン。シニア層にTimeleszやBe:FIRSTがランクインしていることについて多田氏は、「オーデション番組を見て、成長の過程に惹かれファンになったシニア層の人も多い」とコメントした。
シニア層を中心に予定登録数の多い「大谷」「ドジャース」
70代のシニア層では、「大谷」の予定出現数が多く、大谷選手がドジャースに移籍した2024年以降「ドジャース」を予定に登録する人が増えている。試合の予定などが反映されていると推測され、その注目度の高さが窺える。
「阪神タイガース」優勝がスケジュールにも反映
「阪神タイガース」の予定出現数は50~60代で多く、2023年の優勝、そして今年の優勝を受けてスケジュールが増える可能性が見込まれるという。
世代を超えて広がる“推し活”の可能性
シニア層にも広がりを見せ、今や全世代に浸透しつつある“推し活”文化。家族や身近な人と一緒に楽しむことでコミュニケーションが増え、関係がより深まるケースもあれば、推し活を通じて新たな人間関係が生まれることもある。こうした推し活は、個人の精神的・身体的なウェルビーイングに寄与するだけでなく、経済効果や地域活性化といった社会的な広がりも期待され、今後もその注目度は高まり続けるだろう。一方で、お金や時間を費やす推し活は、経済的な負担や時間の使い方などを考慮し、自分らしく楽しむことが重要だ。推しのイベントや出演情報を見逃さないよう、スケジュール管理と情報収集ができるTimeTreeの活用は、これからの推し活をさらに充実させてくれるはずだ。